駐在員事務所の資産譲渡とVATについて

会計

こんにちは、インド・ムンバイ事務所駐在員の鈴木です。

 

すでにインドに進出されている企業の中には、駐在員事務所から現地法人に切り替える企業も少なくありません。最近、RBIの審査が厳しくなっているという話もあり、2年若しくは3年で来る更新に対して申請が下りず、現地法人設立を余儀なくされる企業もあります。(今年の震災後、ちょうど更新のあったある駐在員事務所は、更新できるか否か微妙な境目だったようですが、「今日本が大変な状況で、現地法人を設立している余裕はない」と担当官に訴えたところ、延長の許可が下りた、というエピソードは聞いたことがあります。)

 

駐在員事務所から現地法人に切り替えると言っても手続きは、駐在員事務所の閉鎖及び現地法人の新規設立という別々の手続きとなります。通常は、駐在員事務所を閉鎖する前に現地法人を設立し、箱が出来たら駐在員事務所の資産を現地法人に譲渡させ、駐在員事務所のモノ・カネ・ヒト、全て空っぽになったら閉鎖の手続きを行います。

 

さて、この駐在員事務所のモノを現地法人に移す際ですが、あくまでも別法人への譲渡になるので、適正な価格をもって譲渡する必要があります。対価が発生するのでそこには物を売ったときにかかるVAT/CSTが課されるのではないかという疑問が湧いてきます。

 

駐在員事務所はそもそも販売活動を行っていないので、VAT/CSTの税コードは所有していません。現地法人に資産を移すために税コードを取得しないといけないのでしょうか。

 

結論から言うと、答えはノーです。

理由は2つあります。

・譲渡される資産は固定資産であるため

・販売目的ではないため

 

VAT/CSTは売上税と言われる通り、販売や再販3を目的とした物品に対して課される税金です。駐在員事務所から現地法人に譲渡される資産はせいぜいパソコンや机などと言った固定資産に限られます。固定資産は駐在員事務所においても会社で使用する目的で所有されていたものですが、現地法人においても販売の目的ではなく使用の目的で譲渡されるため、そこにはVAT/CSTは適用外ということになります。

VAT/CSTは州の管轄になるので、各州によって見解は異なるので、念のため各州法に従われているかの確認は必要となります。

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