インドにおける会計基準について②

会計

皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。

 

本日はインドの会計基準(AS)の概要についてみていきます。

 

  Accounting Standards (AS) インド会計基準
AS1 Disclosure of Accounting Policies 会計方針の開示
AS2 Valuation of Inventories 棚卸資産の評価
AS3 Cash Flow Statements キャッシュ・フロー計算書
AS4 Contingencies and Events Occurring After the Balance Sheet Date

偶発事象および後発事象

AS5 Net Profit or Loss for the Period, Prior Period Items and Changes in Accounting Policies 当期純利益、前期損益修正、会計方針変更
AS7 Construction Contracts 工事契約
AS9 Revenue Recognition 収益の認識
AS10 Property, Plant and Equipment 固定資産
AS11 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates

外国為替レートによる影響

AS12 Accounting for Government Grants 政府補助金
AS13 Accounting for Investments 投資
AS14 Accounting for Amalgamations 合併
AS15 Employee Benefits 従業員の給付
AS16 Borrowing Costs 借入費用
AS17 Segment Reporting セグメント報告
AS18 Related Party Disclosures 関連当事者の開示
AS19 Leases リース契約
AS20 Earnings Per Share (EPS) 一株当たり利益
AS21 Consolidated Financial Statements 連結財務諸表
AS22 Accounting for Taxes on Income 所得税
AS23 Accounting for Investments in Associates in Consolidated Financial Statements

連結財務諸表における関連会社に対する投資

AS24 Discontinuing Operations 廃止事業
AS25 Interim Financial Reporting 中間財務報告
AS26 Intangible Assets 無形資産
AS27 Financial Reporting of Interests in Joint Ventures

ジョイント・ベンチャー持分の財務報告

AS28 Impairment of Assets 資産の減損
AS29 Provisions, Contingent Liabilities and Contingent Assets

引当金、偶発債務、偶発資産

出所:The Institute of Chartered Accountants of India

 

 

また、日本の会計基準、インドの会計基準(AS)、IFRS基準の主な差異は下記の表の通りになります。例えば、建設関連の会社の場合ですと、「工事収益の計上方法」に関して日本本社とインド子会社との間でしばしば問題になることがあります。

 

 

【日本とインドのIFRS基準の差異】

  日本の会計基準 インドの会計基準 IFRS
棚卸資産の

評価方法

後入先出法は2010年4月以降に開始する事業年度から廃止された 後入先出法や最終仕入原価法が認められていない 後入先出法や最終仕入原価法が認められていない
工事収益

計上方法

成果の確実性が認められる場合は、工事遂行基準が採用され、それ以外は工事完成基準となる 工事遂行基準のみ 取引成果見積可能時:工事進行基準

不可能時:費用発生の範囲で収益を認識

有価証券の

強制評価減

簿価を切り下げ、時価が回復しても戻し入れを行わない 引当金を計上し、時価が回復した場合は引当金を戻し入れる 減損はその増加が減損として認識された後に戻し入れる
子会社の

会計年度

親会社と子会社の期末日の相違は3か月まで認められる 親会社と子会社の期末日の相違は6か月まで認められる 親会社と子会社の期末日の相違は3か月まで認められる
減損損失 固定資産の減損損失を計上した場合、固定資産の収益性が後日回復したとしても損失を戻し入れない 収益性が回復した時に過年度の減損損失を戻し入れる 過年度に認識した減損損失がなくなった場合に資産の回収可能額を見積もる。その結果回収可能額が帳簿価格を上回る場合は戻し入れる
資産除去債務 取得した資産を除売却した場合にかかる費用の見積額(割引現在価値)を計上する 取得した資産を除売却した場合にかかる費用の見積額を計上する。ただし、割引現在価値でなくてもよい 取得した資産を除売却した場合にかかる費用の見積額(割引現在価値)を計上する
有給休暇引当金 計上しなくてもよい 短期の有給休暇引当金は発生ベースで計上し、長期については見積額を計上する 短期の有給休暇引当金は発生ベースで計上し、長期については見積額を計上する

 

次回は、それぞれ会計基準の差異について、ポイントとなる論点を詳しく見ていきたいと思います。

 

Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)ではインド会計基準について、より詳しい情報を弊社の日本人コンサルタント、インド人会計士がお答えします。

 

是非お気軽にご連絡ください。

 

東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点

田本 貴稔

 

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