皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
さて、今回は「情報管理」をご紹介していきたいと思います。
ドラッカーは、目標管理のための情報管理について、ひとつの危惧を抱いていました。その著書、「マネジメント」の中では以下のように述べています。
『あらゆる者が自らの仕事ぶりを測定するための情報を手にすることが不可欠である。しかも、必要な措置がとれるよう、それらの情報は早く提供しなければならない。それらの情報は、彼ら自身に伝えるべきであって上司に伝えるべきではない。情報は、自己管理のためのツールであって、上から管理するためのツールではない。このことは、情報の収集、分析、統合に関わる技術進歩の結果、それらの入手能力が急速に増大した今日、特に強調しておく必要がある。
(中略)
情報能力の増大は、効果的な自己管理を可能にした。情報がそのように使われるならば、マネジメントの成果も大きく向上するはずである。しかしこの情報能力の増大が、上からの管理に利用されるならば、マネジメント全体の志気を下げ、マネジメントの成果は深刻ともいうべき低下を見せることになる。』
ドラッカーの経営思想には、「人は唯一成長する資源である」、さらに、「人はいかに働くか否かを自ら決める存在である」の2つの概念が根底に流れています。ドラッカーが、管理や支配ではなくマネジメントという言葉で伝えたかったのは、「人が自らが積極的に自らの職務に取り組むことで、自らが成長し、これが企業の成長の原動力となる。」ということであります。
目標管理のための情報管理であるべきですが、企業によっては、必ずしも充分な情報管理システムが整備されておらず、必要な指標が必要な時に得られる訳でありません。
企業が日常の業務の中では取得できず、取得するためにさらに手間がかかるような指標であっては、管理のための指標集めとなり本末転倒となってしまい元も子もありません。企業の能力以上に難しい仕組みにすると仕組み自体が破綻します。
ドラッカーは、その著書で以下のように結論付けています。
『自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分でない。目標に照らして、自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない。
(中略)
自己評価のための明確な情報を与える必要がある。それらの情報は数字である必要はない。厳密である必要もない。しかし明瞭でなければならない。意味があり、かつ直裁でなければならない。正確さの程度を知りうるだけの信頼性をもつものでなければならない。難しい説明や解釈を必要としない平易なものでなければならない。 あらゆる者が自らの仕事ぶりを測定するための情報を手にすることが不可欠である。しかも、必要な措置がとれるよう、それらの情報は早く提供しなければならない。』
澤柳 匠