カンボジア移転価格税制 その2

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア移転価格税制 その2」についてお話しします。

先週は、移転価格税制の概要についてお話ししました。今週は、カンボジアにおける移転価格税制の関連法令等とこれまでの経緯についてお話ししたいと思います。

 

カンボジアはこれまで移転価格税制について明確に定めた法令等は存在せず、類似した税法の規定があるのみでした。

 

税法第18条

20%以上の共同資本関係にある企業間について、税務長局は収益及び費用の再配分について幅広い権限を有する。

税法第92条第8項

関連者間の取引について、税務当局は取引の再決定についての権限を有する。

 

2017年10月10日付で、経済財政省よりPrakas No. 986「関連者の収入及び費用の配分に関する規定及び手続」が公表、同日より発効され、OECD移転価格ガイドラインに基づく制度が導入されました。しかし、このPrakasがどの会計年度から適用されるかについては、明確に言及してはいません。

 

カンボジアにおいては、政府、企業ともに手探りの状態ですが、今後の運用の予測として、アジアでの運用の傾向を見てみます。数年前に移転価格税制が始まり、当初は大企業に対し、そして次第に中小企業に対して、調査・追徴を行っていくという流れになっています。前回もお話ししたように、移転価格税制とは国家間の税金の適正な配分を目的としています。

 

しかしながら、新興国においては、利益率の低い企業、さらには赤字の企業から税金を取るための手段として使われている傾向があります。

 

次回は、カンボジアにおける移転価格税制のリスクや文書化の要件等を見ていきたいと思います。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

 

関連記事

ページ上部へ戻る