カンボジア移転価格税制 その3

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア移転価格税制 その3」についてお話しします。

前回、新興国においては、利益率の低い企業、さらには赤字の企業から税金を取るための手段として使われている傾向があるというお話をしました。例えば、税率を日本40%、カンボジア20%とした場合、通常であれば税率の高い日本に多くの利益を移すことは、常識的にはあり得ないことですが、それでもカンボジアの税務当局は日本に多く利益を移し、カンボジアでの課税を逃れているという主張をします。

 

リスクの確認として、まずは自企業が関連会社とどれだけ取引があるかを確認します。ここでの取引とは、損益計算書に影響を与えるほぼすべての取引が対象となります。特にロイヤリティに含まれる製造技術やノウハウといった無形資産、貸付や債務保証にかかる利子や保証料などの金融取引、役務提供などのサービス取引などが注目されやすいものとなります。

 

また、移転価格税制においては、移転価格文書の準備義務や説明責任が納税者側にあるため、税務当局側に有利なものとなっています。税務当局より移転価格について説明を求められた際、独立企業間価格等を説明する移転価格文書を準備できておらず、関連者との取引価格の妥当性について税務当局に対して説明ができない場合、推定課税に基づき課税が行われてしまします。推定課税とは、実際の取引価格を税務当局の指定する取引価格に引き直し、追加で所得があったとみなして追加の法人税等を課税することです。

 

移転価格リスクを少しでも回避するためのチェックポイントを上げてみます。

・企業単体の利益率が連結に比べて低すぎる

・同業他社の利益率と比較して利益率が低すぎる

・関連者との利益率が事業年度によって大きく変動している

・ロイヤリティの支払額が高すぎる

・役務提供を受けているが、支払対価が高すぎる

・役務提供を行っているが、受取対価が低すぎる、又は受け取っていない

・第三者からの購入価格と比較して、輸入価格が高すぎる

・第三者への販売価格と比較して、輸出価格が低すぎる

 

また、関連者に関しては、「国外」に限定されておらず、国内関連者にも適用される可能性は十分にあります。

 

次回は、カンボジアにおける文書化の要件等を見ていきたいと思います。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

 

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