大統領選挙とその後の政策について

こんにちは。　東京コンサルティングファーム　ブラジル駐在員の金内です。

今週はブラジル投資環境について記載いたします。

昨月10月に大統領選挙が行われ、現職のジルマ・ルセフ大統領の再選が決まり、同氏が来期も続投する形となりました。ブラジル大統領選挙は、Tribunal Regional Eleitoral （TRE）によって管理されるブラジル選挙制度で、国民による直接投票となっており、投票を行わなかった国民には規定による罰則が設けられています。

ルセフ大統領の所属する労働党は2003年以降多くの貧困層を支援し、失業率の改善および格差是正の政策を積極的に打ちだすことによって、国民の支持、特に国民全体の40%を超えるとされる貧困層からの支持を得てきました。今回の選挙においても、貧困層からの得票が多く、北部や比較的貧困層の多い地域での支持が目立ちます。直近での経済成長率の低迷が問題視されており、実際に経済の中心地となるサンパウロ州では、対抗馬である社会民主党のアエシオ・ネベス氏が得票数で上回っています。

次期においても引き続き低迷する経済の立て直しが最大の課題であり、歳出削減や増税政策を打ち出し、財政収支の改善を進めていく必要があります。

ルセフ現大統領は選挙後において、インフレ抑制に積極的に取り組む姿勢を示していたこともあり、10月29日、金融政策委員会において政策金利を11.00％から0.25％引き上げ、11.25％とすることを決定しました。政策目標として設定している2.5%～6.5%のインフレ率が、9月時点で6.75%であった事から、中央銀行はインフレ抑制に対する措置を迅速に行った形となります。政策金利が11%を超えたのは、2011年10月であり3年ぶり、また、インフレ抑制において今後の利上げ観測は継続すると思われます。

※政策金利はSelicと呼ばれ、Slice金利はブラジルの銀行定期預金の利率に直結しています。ブラジルにおける定期預金制度詳細は同ブログ「政策金利（Selic）と銀行定期預金（CDB）について」をご参照ください。

弊社事務所があるサンパウロでは、今回の選挙結果について、結果の出せない現政権に対して悲観的な意見が多い印象です。日本人駐在員を含む外国人からの客観的な支持もそうですが、ブラジル現地人のルセフ現大統領に対する不満は募るばかりであり、再選直後のルセフ現大統領の演説にあった、「ブラジルの将来のために国民全てが団結する必要がある」という点については、当面大きな困難となるでしょう。

以上

Tokyo Consulting Firm Limitada

Director

金内　陽

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