こんにちは。
今週も引き続き、ブラジルの会計の基礎についてお伝えいたします。
今回は、前回お話いたしました損益計算書(Demonstração do resultado do exercício [DRE])の続きで、法人税に関してお話をしていきます。
こちら、前回掲載いたしました、損益計算書の一例を再度載せます。
法人所得税のところに注目していただきたいのですが、“15~25%”と記載されております。
あれ、「どうして固定の税率でないのだろう?」と疑問に感じる方がいるかもしれません。
この謎を紐解いていきましょう。
まず初めに、ブラジでは利益の算出方法が数種類ございます。
その詳細については、下記のブログ記事をご確認いただけると幸いです。
Lucro Real(実質利益法)とLucro Presumido(推定利益法)の税金の違いについて
今回は最も一般的なLucro Real(実質利益法)に関して取り上げます。
分かり易く伝えると、ブラジルの法人所得税は2段階ございます。
具体的な数値でみていきましょう。
ブラジルでは法人所得税は月次で申告・納付いたしますので、ある1か月の事例を例にとってみていきます。
1、課税所得が100,000 BRLの場合
- A 15% 100,000 * 15% = 15,000 BRL
- B 10% (100,000 – 20,000) * 10% = 8,000 BRL
A 15,000 BRL + B 8,000 = 23,000 BRL 【税率 23%】
2、課税所得が18,000 BRLの場合
- A 15% 18,000 * 15% = 2,700 BRL
- B 10% 0 * 10% = 0 BRL [18,000 BRL < 20,000]
A 2,700 BRL + B 0 = 2,700 BRL 【税率 15%】
3、課税所得が8,000,000 BRLの場合
- A 15% 8,000,000 * 15% = 1,200,000 BRL
- B 10% (8,000,000 – 20,000) * 10% = 798,000 BRL
A 1,200,000 BRL + B 798,000 = 1,998,000 BRL 【税率 24.9%】
4、課税所得が75,000 BRLの場合
- A 15% 75,000 * 15% =11,250 BRL
- B 10% (75,000 – 20,000) * 10% = 5,500 BRL
A 11,250 BRL + B 5,500 = 16,750 BRL 【税率 22.3%】
15%~24.9%の間であることが上記からもわかると思います。
なお、法人所得税そのものは15%~25%ですが、社会負担金(CSLL)9%も課税所得に対して発生する税金となるので、法人所得税と性質が異なりますが、法人税とセットで考えていくと良いでしょう。
次回は、法人所得税(IRPJ)、社会負担金(CSLL)のそれぞれの月次の申告・納税について、もう少し詳しく見ていきます。
ご不明点等ございましたら、問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
引き続き皆さまにとって有益な情報を発信してまいります。
お読みくださりありがとうございます。
【 Wiki-Investment 】
~ 『海外投資の赤本シリーズ』、待望のデータベース化! ~
海外進出の対応国数30か国! ビジネスサポート企業数550社以上!!
新興国を中心に海外ビジネス情報(会計、税務、労務、基礎知識、設立、M&Aなど)をまとめたデータベース!
各国のビジネス基礎情報に加え、最新の法改正やアップデートについて、逐一更新しております!
以下、URLより無料会員登録(24時間お試し)も可能ですので、ぜひご覧ください!
URL:https://www.wiki-investment.jp
株式会社東京コンサルティングファーム・ブラジル拠点
田村彩紀
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても、情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Pte. Ltd.)は一切の責任を負いません。ご了承ください。