ブラジルの会計の基礎 ⑥

こんにちは。
今週も引き続き、ブラジルの会計の基礎についてお伝えいたします。

今回は、前回お話いたしました損益計算書(Demonstração do resultado do exercício [DRE])の続きで、法人税に関してお話をしていきます。
こちら、前回掲載いたしました、損益計算書の一例を再度載せます。

 

法人所得税のところに注目していただきたいのですが、“15~25%”と記載されております。

あれ、「どうして固定の税率でないのだろう?」と疑問に感じる方がいるかもしれません。
この謎を紐解いていきましょう。

 

まず初めに、ブラジでは利益の算出方法が数種類ございます。

その詳細については、下記のブログ記事をご確認いただけると幸いです。
Lucro Real(実質利益法)とLucro Presumido(推定利益法)の税金の違いについて

 

今回は最も一般的なLucro Real(実質利益法)に関して取り上げます。

分かり易く伝えると、ブラジルの法人所得税は2段階ございます。

具体的な数値でみていきましょう。

ブラジルでは法人所得税は月次で申告・納付いたしますので、ある1か月の事例を例にとってみていきます。

 

1、課税所得が100,000 BRLの場合

  • A 15% 100,000 * 15% = 15,000 BRL
  • B 10% (100,000 – 20,000) * 10% = 8,000 BRL

A 15,000 BRL + B 8,000 = 23,000 BRL 【税率 23%】

 

2、課税所得が18,000 BRLの場合

  • A 15% 18,000 * 15% = 2,700 BRL
  • B 10% 0 * 10% = 0 BRL [18,000 BRL < 20,000]

A 2,700 BRL + B 0 = 2,700 BRL 【税率 15%】

 

3、課税所得が8,000,000 BRLの場合

  • A 15% 8,000,000 * 15% = 1,200,000 BRL
  • B 10% (8,000,000 – 20,000) * 10% = 798,000 BRL

A 1,200,000 BRL + B 798,000 = 1,998,000 BRL 【税率 24.9%】

 

4、課税所得が75,000 BRLの場合

  • A 15% 75,000 * 15% =11,250 BRL
  • B 10% (75,000 – 20,000) * 10% = 5,500 BRL

A 11,250 BRL + B 5,500 = 16,750 BRL 【税率 22.3%】

 

15%~24.9%の間であることが上記からもわかると思います。

なお、法人所得税そのものは15%~25%ですが、社会負担金(CSLL)9%も課税所得に対して発生する税金となるので、法人所得税と性質が異なりますが、法人税とセットで考えていくと良いでしょう。

 

次回は、法人所得税(IRPJ)、社会負担金(CSLL)のそれぞれの月次の申告・納税について、もう少し詳しく見ていきます。
ご不明点等ございましたら、問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

引き続き皆さまにとって有益な情報を発信してまいります。
お読みくださりありがとうございます。


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株式会社東京コンサルティングファーム・ブラジル拠点
田村彩紀

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