バングラデシュおける積立基金制度(Provident Fund)について(1)

労務

バングラデシュの民間企業には年金制度がありません。また社会保険も一般的ではありません。ただし、これに代わる制度があります。これがProvident Fund(PF)と呼ばれているものです。労働法では、従業員の3/4以上が、会社に対してProvident Fundの設立を要求した場合、Provident Fundの設立を行わなければならないと規定されています。一方、労働法には、懲戒解雇以外の会社都合での雇用解除も規定されています。従って、一般的に従業員は、会社の意に沿わない要求については、契約解除のリスクがあると考え、3/4以上の署名を集め、Provident Fundの設立を要求するという事も稀です。

このProvident Fundは、会社と従業員から同額を拠出し積立て、従業員が退職する際に、その積立額を取り崩し、従業員に支給するというものです。一般的に、拠出額は一年間に一ヵ月分の基本給となります。つまり、Provident Fundを導入した場合、会社は一従業員あたり一ヵ月分の基本給を多く支払う事になります。

実際に採用面接を行っていると、Provident Fundの有無についての質問を多く受けます。人口密度が多いと言われているバングラデシュですが、有能な人材の確保は難しいとも言われています。採用活動での有能な人材の確保のために、Provident Fundという福利を拡充しておくことは、非常に有効な手段と考えられます。また、従業員にとっては居心地の良い環境を与えられ、会社に残りたいという意識を高めるものです。一方で、長く勤続するということは、社員自身の成長の意識を少しずつ低下させるリスクも孕んでいます。福利の拡充を行う際は、責任範囲や、会社が従業員に対して期待していることをより明確にしていく必要があります。

 

Tokyo Consulting Firm Limited
渡邊 忠興

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