労働者の傷害保険(EII: Employment Injure Insurance)について

労務

 

バングラデシュでは、日本で言う国民保険や年金制度といったものがほとんどありません。積立基金(PF: Provident Fund) はバングラデシュでも存在するものの導入は任意で、導入企業は過半数に満たないのが現状です。
2019年4月の国際労働機関(ILO: International Labor Organization)の発表によれば、国際労働機関とバングラデシュ政府が労働者の人権保護のために少なくとも1年以内に労働者傷害保険(EII: Employment Injure Insurance)の導入を検討しています。

 

労働者傷害保険の導入は2013年4月にダッカのEMKセンターでの死者1,136名、2,500人以上のけが人を出したラナプラザの事故が背景であり、この保険も最初は縫製工場に限り導入し徐々に他の業種でも導入を拡大する予定です。

労働者傷害保険を導入することで労働者側の利点は3つあります。
・けがなどに対する医療的な手当て
→現状、医療費については自己負担。
・将来の収入損失に対する補償
→現状、年金にように将来に備えた制度なし。
・労働者が希望すれば職場復帰が可能。
→現状、医療的措置の必要な労働者について雇用者都合で解雇可能。

バングラデシュ政府としてもラナプラザの事件を受けて、政府が労働者の労働環境の改善や労働者保護に力を入れていきそうです。

以上

 

Tokyo Consulting Firm Limited
齋藤かおり


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