
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループバングラデシュ拠点の谷之口大輝です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「バングラデシュでの会社設立」についてお話していこうと思います。
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バングラデシュは近年、アジアの次なる成長市場として日本企業からの注目が急速に高まっています。GDP成長率は毎年6〜7%台を維持し、1億7,000万人を超える若年人口を抱えるこの国は、製造業の集積地としても、巨大消費市場としても、多くの可能性を秘めています。本記事では、バングラデシュへの進出を検討している経営者・海外事業担当者の方に向けて、会社設立の全手順・費用・税制・外資規制・よくある失敗事例まで、現地実務を踏まえた情報を網羅的に解説します。
目次
なぜ今バングラデシュなのか?
経済成長の持続と「人口ボーナス」
バングラデシュはここ10年以上、年率6〜7%超という高水準のGDP成長を維持してきました。World Bankのデータによれば、2010年代を通じてこの成長率は安定しており、コロナ禍においても東南アジア・南アジア諸国の中で比較的高い成長を保ちました。その背景には、平均年齢27歳前後という若年人口の「人口ボーナス」があります。生産年齢人口の増加が続く今こそ、工場労働力の確保という観点でも、消費市場の拡大という観点でも、進出の好機といえます。
製造業の集積と低コスト労働力
バングラデシュは世界最大級の縫製・アパレル輸出国であり、衣料品の輸出額は国全体の輸出の約80%を占めます。YKK、丸紅をはじめとする日本の大手企業も早くから現地に生産拠点を構えており、製造業の集積地として確立されています。最低賃金は製造業で月額1万2,500タカ(約2024年時点で約150〜160米ドル前後)と近隣のベトナムや中国と比較しても低く、コスト競争力のある生産拠点として機能しています。
外資優遇政策とBIDA
バングラデシュ政府は外国直接投資(FDI)の積極的な誘致を国策としており、Bangladesh Investment Development Authority(BIDA)を通じて、ワンストップサービスで外資企業の設立手続きを支援しています。経済特区(EPZ・EZ)内に設立する企業は、法人税免除・輸出入関税の免除など手厚い優遇措置を受けられます。日本との間には投資保護協定(BIT)も締結されており、法的な投資環境の整備も進んでいます。
バングラデシュで選べる会社形態
4つの主要な会社形態
バングラデシュで外資企業が選択できる主要な会社形態は以下の4種類です。それぞれに設立目的・コスト・規制の違いがあるため、自社の進出目的に合わせて選択することが重要です。
| 会社形態 | 主な用途 | 最低資本金の目安 |
| Private Limited Company(非公開有限会社) | 製造・販売・サービス業など幅広い事業 | 制限なし(業種により異なる) |
| Public Limited Company(公開有限会社) | 上場・大規模資金調達を想定した事業 | 一定規模以上が必要 |
| Branch Office(支店) | 親会社の業務の延長・受注対応 | 親会社の財務が基準 |
| Liaison Office(駐在員事務所) | 市場調査・連絡業務(営利活動不可) | 不要 |
Private Limited Company(非公開有限会社)が最も一般的
外資企業が現地で事業を行う場合、最も利用されるのがPrivate Limited Companyです。株主が2名以上50名以下で構成され、外資100%での設立が多くの業種で認められています。設立後はRJSC(Registrar of Joint Stock Companies and Firms)への登録が必要です。
Branch Office・Liaison Officeは活動制限に注意
支店(Branch Office)は本社の業務を代理で行えますが、バングラデシュ国内で直接売上を計上する場合は法人と同様に課税されます。駐在員事務所(Liaison Office)は営利活動が一切禁止されており、市場調査や取引先開拓の初期段階に向いています。いずれもBIDAへの登録・許可取得が必須です。
バングラデシュ会社設立の流れ(全ステップ解説)
設立までの全体スケジュール
スムーズに進んだ場合、Private Limited Companyの設立には概ね2〜3ヶ月程度を要します。現地パートナーや専門家の支援を得られる環境を整えた上で手続きを進めることが重要です。
ステップ1:社名予約(Name Clearance)
RJSCのオンラインシステム上で希望する会社名の使用可否を確認します。英語表記の会社名が必要で、既存の会社名と重複している場合は却下されます。通常1〜3営業日で結果が出ます。予約後は一定期間内に設立手続きを完了させる必要があります。
ステップ2:定款(Memorandum & Articles of Association)の作成
会社の目的・資本金・株主構成・役員構成・事業範囲などを定めた定款を作成します。バングラデシュの法律に準拠した形式が求められ、英語で作成するのが一般的です。現地弁護士のサポートを受けることで、事業目的の記載漏れや不備を防ぐことができます。
ステップ3:RJSC登録(会社登記)
作成した定款・設立申請書・発起人の情報などをRJSCに提出し、会社を正式に登記します。登録時には登録印紙税(Stamp Duty)が必要です。登録が完了すると「Certificate of Incorporation(設立証明書)」が発行され、これが法人の存在を証明する最重要書類となります。
ステップ4:TIN(納税者番号)取得
国税局(National Board of Revenue)からTaxpayer Identification Number(TIN)を取得します。法人口座の開設・各種許認可の申請にTINは必須です。オンライン申請が可能で、比較的短期間(数日〜1週間程度)で取得できます。
ステップ5:銀行口座の開設
現地の銀行(BRAC Bank、Dutch-Bangla Bank、Standard Chartered Bangladeshなど)で法人口座を開設します。外資系企業の場合、外貨建て口座(FC Account)の開設も検討すべきです。口座開設には設立証明書・TIN・定款・役員のパスポートコピーなどが必要です。
ステップ6:BIDA登録(外国投資の届出)
外資が関与する企業はBangladesh Investment Development Authority(BIDA)への登録が原則必要です。BIDA登録を行うことで、ビザ・就労許可の取得サポート・ロイヤルティ・技術料の海外送金許可など、投資家としての権利が保護されます。BIDAのワンストップサービスを通じて手続きが一元化されており、利便性が向上しています。
ステップ7:その他必要な許認可の取得
業種によっては追加の許認可が必要です。製造業ではFactory License(工場許可証)、飲食業では保健省の許可、金融・保険業ではBangladesh Bank等の監督官庁の許可が必要となります。また、EPZ(輸出加工区)内で操業する場合はBEZAへの登録が必要です。
設立費用・最低資本金
費用の目安
会社設立にかかる費用は、会社規模・業種・専門家への依頼範囲によって大きく異なります。以下は一般的なPrivate Limited Companyを設立する場合のおおよその費用目安です。
| 費用項目 | 概算費用(目安) | 備考 |
| RJSC登録費・印紙税 | 資本金額により変動(数万円〜数十万円相当) | 資本金が高いほど増加 |
| BIDA登録費 | 無料〜数万円相当 | オンライン申請可 |
| 現地弁護士・専門家費用 | 30万〜100万円程度 | 依頼範囲により大きく変動 |
| 銀行口座開設・維持費 | 数千円〜数万円程度 | 銀行により異なる |
| 翻訳・公証費用 | 数万円程度 | 書類の種類による |
| 合計(概算) | 50万〜200万円程度 | 規模・業種・専門家費用により変動 |
最低資本金について
バングラデシュには一般的な会社設立における「法定最低資本金」の規定は原則ありません。ただし、業種・外資比率・就労ビザの取得などにあたっては、当局が一定額以上の資本金を事実上求める場合があります。たとえば外国人が就労許可を取得するためには、1名あたり50,000〜100,000米ドル以上の資本金投入が求められるケースがあります(当局ガイドラインによる)。業種によっては最低資本金規定が設けられている場合もあるため、事前に確認が必要です。
法人税・VAT・優遇税制
法人税率(2025〜2026年度)
バングラデシュの法人税率は、企業の種類・上場の有無・業種によって異なります。以下は主要な区分の目安です(毎年の予算法により変更される場合があるため、最新情報を国税局(NBR)で確認することを推奨します)。
| 企業区分 | 税率(目安) |
| 上場企業(株式市場に上場) | 25% (27.5%*) |
| 非上場企業(一般的な外資系現地法人) | 27.5% |
| 銀行・保険・金融機関(非上場) | 40%前後 |
| タバコ・たばこ関連企業 | 45%前後 |
VAT(付加価値税)
バングラデシュのVAT標準税率は15%です。2019年に導入された新VAT法に基づき、年間売上高が一定額を超える事業者はVAT登録が義務付けられています。輸出品には原則ゼロ税率が適用されます。還付手続きは存在しますが、実務上は時間がかかるケースが多く、輸出業者は手続きを丁寧に管理する必要があります。
優遇税制・税制インセンティブ
バングラデシュ政府は特定業種・地域への投資に対して以下のような税制優遇を設けています。
● EPZ・EZ内企業:法人税免除期間(通常5〜10年)・輸出入関税の免除
● IT・ITESパーク内企業:2024年まで法人税免除(延長の可能性あり)
● 新興業種(再生可能エネルギー・軽工業など)への減税措置
● 日バングラデシュ租税条約:二重課税の回避・源泉徴収税率の軽減
外資規制・禁止業種・BOI登録
外資出資比率の規制
バングラデシュは基本的に外資100%での法人設立を認めています。ただし、一部の業種では外資出資比率が制限されているか、または進出が禁止されています。Bangladesh Investment Development Authority(BIDA)が公表する「Negative List(禁止リスト)」に指定された業種への外資参入は認められません。
外資が参入できない主な業種(Negative List)
● 武器・弾薬・爆発物の製造・輸入・輸出
● 原子力発電所の建設・管理
● 安全保障に関する印刷・造幣(政府専管)
● 森林保全区域での伐採事業
上記以外にも、一部の業種では政府・官民合弁が義務付けられるケースや、外資比率に上限が設けられているケースがあります。進出前にBIDAまたは現地法律事務所に確認することを強く推奨します。
BIDA登録のメリットと手続き
BIDA(Bangladesh Investment Development Authority)への登録は外資企業にとって多くの実務的メリットをもたらします。
● 就労ビザ・就労許可(Work Permit)の取得サポート
● 海外への技術費・ロイヤルティ・利益送金の許可
● 外国人投資家の資産保護
● BIDAワンストップサービスへのアクセス(40以上の行政手続きを一元化)
登録手続きはBIDAのオンラインポータルから申請でき、概ね2〜4週間程度で登録証明書が発行されます。
よくある失敗事例と対策
失敗事例① 現地パートナー選定ミス
「信頼できると思っていた現地パートナーに出資持分を実質管理され、事業から排除された」というケースは珍しくありません。バングラデシュでは現地法律の理解が不十分なまま合弁契約を結ぶリスクが高く、特に株主間契約書(Shareholders Agreement)の内容が曖昧だと、経営権を守れなくなる事態も起こります。対策としては、信頼できる現地弁護士を通じて詳細な株主間契約・定款を整備し、出資比率と経営権の関係を明確にしておくことが不可欠です。
失敗事例② 送金規制で資金が動かせない
バングラデシュはタカ(BDT)が管理通貨であり、利益の本国送金・ロイヤルティ・技術料の支払いには事前にBIDA・Bangladesh Bankの許可が必要です。「設立後に利益を日本に送金しようとしたが、書類不備で数ヶ月間送金できなかった」という事例が多く報告されています。対策として、設立時からBIDA登録・外貨口座の整備・会計・税務の適正管理を徹底し、送金許可に必要な書類を常に整えておくことが重要です。
失敗事例③ 労務トラブル・ストライキ
バングラデシュの労働法は労働者保護が強く、解雇手続きには厳格なルールがあります。縫製工場などでは労働組合の組織化が活発で、賃金交渉や労働環境をめぐるストライキが発生することも珍しくありません。日本本社が現地の労働慣行を理解しないまま指示を出し、現場が混乱するケースも見られます。対策としては、現地のHRコンサルタントや労務専門家を活用し、就業規則・労働契約を現地法に準拠した形で整備することが重要です。
失敗事例④ 許認可の遅延・漏れ
業種によっては設立後に追加の許認可が必要にもかかわらず、事前調査が不十分で操業開始後に問題が発覚するケースがあります。特に食品・医薬品・金融・環境に関わる業種は規制が複雑で、関係省庁が複数にまたがります。進出前に現地専門家とともに必要な許認可リストを網羅的に確認することが失敗を防ぐ最善策です。
まとめ
バングラデシュは高成長・若年人口・低コスト労働力・外資優遇政策という複数の好条件が重なる、現在アジアで最も注目すべき新興投資先のひとつです。一方で、送金規制・現地パートナーリスク・許認可の複雑さなど、日本国内とは異なる実務上のハードルも存在します。
成功のカギは「制度を知るだけでなく、実務に精通した専門家とともに、自社の事業モデルに合った進出スキームを設計すること」にあります。以下のチェックリストを参考に、まずは自社の状況を整理してみてください。
バングラデシュ進出チェックリスト
1. 進出目的の明確化(製造拠点・市場開拓・コスト削減など)
2. 適切な会社形態の選定(Private Ltd / Branch / Liaison)
3. 資本金・初期投資額の試算と本社承認
4. 業種ごとの外資規制・Negative Listの確認
5. 現地弁護士・税理士・BIDAコンサルタントの選定
6. 現地パートナーの候補選定と信用調査
7. 許認可リストの網羅的確認
8. 送金・資金還流スキームの設計
9. 労務・就業規則の現地法対応
10. JETROへの相談・公的支援の活用
バングラデシュへの進出は、適切な準備と信頼できる専門家の支援があれば、大きなビジネスチャンスとなります。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事の情報は2025年時点の公開情報を基に作成しています。法制度・税率・規制は毎年変更される可能性があります。実際の手続きは必ず現地専門家・当局の最新情報を確認の上でご判断ください。
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