ベトナムの会社形態・2

先週に引き続きベトナムにおける期間設計について一人有限会社と二人以上有限会社についてみていきます。

■一人有限会社

 一人有限会社は、出資者が1名の会社であり、会社の機関設計は、会長、社長、1名から3名の監査役により構成されます。監査役は設置しなくても問題にならないため、実務上、設置しないケースも多いです。

 出資者は、出資者に代わる委任代表者を選任します。委任代表者を1名選任する場合、その委任代表者が会長となります。委任代表者を複数選任する場合は、その中から会長を選任することになります。

 会長とは、社員総会より任命され、出資者に代わり会社を代表して業務を遂行する者をいいます。社長とは、社員総会または会長により任命され、事業活動の運営および会長(もしくは社員総会)により意思決定された事項の執行を行います。

 法的代表者(サイン権者)は、会長もしくは社長から選択することもでき、定款に記載する必要があります。法的代表者は国籍の制限はありませんが、ベトナム常駐の要件があり、30日以上ベトナム国外に滞在する場合には、委任状を書面で提出する必要があります。

一人有限会社の機関設計図

20130909_1

■二人以上有限会社

 二人以上有限会社は、出資者が2~50名までの会社であり、会社の期間設計は、社員総会、会長、社長により構成されます。出資者が11名を超える場合は監査役会を設置する必要があります。

 会社の意思決定は、出資者全員により構成される社員総会によって行われ、会長及び社長は社員総会において1名を出資者の中から、選任されます(会長と社長の兼任可能)。それぞれの役割は一人有限会社と同様です。

二人以上有限会社の機関設計図

20130909_2

一人有限会社と二人以上有限会社の特徴をまとめると下記の通りになります。

一人有限会社

二人以上有限会社

出資者数

1名

2名~50名

出資者

組織または個人

組織または個人

株式発行

不可能

不可能

責任範囲

払込出資金の範囲内

払込出資金の範囲内

監査役(会)

1~3名

出資者が11名以上の場合、監査役会の設置が必要

最高意思決定機関

社員総会または会長

社員総会

代表者

会長または社長

会長または社長

投資家が親会社一社であることが多いため、一人有限会社の形態を取る会社が最も多いです。

関連記事

ページ上部へ戻る