銀行口座情報の当局提供とは?(2026年7月1日施行)

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループベトナム拠点の下田琴美です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「銀行口座情報の当局提供とは?(2026年7月1日施行)」についてお話していこうと思います。

 

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銀行口座情報の当局提供とは?(2026年7月1日施行)

今回は「銀行口座情報の税務当局への提供」について取り上げます。

1.何が変わったのか

 2026年7月1日、税務管理法(2025年制定)の細則を定める政令252/2026/ND-CPが施行されました。この政令により、銀行・信用機関・決済サービス提供者(電子ウォレット等を含む)は、納税者の口座情報を税務当局へ定期的に提供する義務を負うことになりました。

 提供される情報は、口座名義人・口座番号・開設支店・開設日/解約日といった基本情報にとどまりません。以下も対象に含まれます。

  • 取引データ(件数・金額・内容、送金元/送金先の情報、国内取引・越境取引の別)
  • 口座残高、期末残高、口座から発生した所得
  • 実質的受益者、代理人、共同名義人、受益者等の関連者情報
  • マネーロンダリング防止法上の異常・不審取引情報

 これらは原則として毎月、電子的方法により翌月10日までに税務当局へ提供されます。不審な取引や税法違反の兆候がある場合は、速やかに情報提供するよう規定されています。

2.「撤回された」という情報は?

 実は今年5月頃、一部で「財務省が銀行への口座情報提供義務の規定を撤回した」という報道が流れました。しかし税務当局はこれを明確に否定しており、口座情報提供の責任は撤回されていない旨を公式にコメントしています。最終的に政令252号として、この規定は維持され、施行されています。

 税務当局副長官は、銀行・デジタルプラットフォーム・決済仲介業者を通じて高額な取引を行っているにもかかわらず、電子インボイス上で正しく申告・反映していない組織・個人が依然として少なくないことを、この制度整備の背景として説明しています。また、税務当局によれば、収集したデータはAIを含む技術ツールで分析され、個人の全取引を逐一追跡するのではなく、リスクの兆候がある案件を識別するために用いられるとのことです。すでに税務当局は約2億5,000万件の銀行口座情報(うち個人口座は約2億件)を把握しているとされています。

3.駐在員にとって何がリスクになるのか

 この制度変更で特に注意したいのは、「申告額」と「実際の銀行振込額」の不一致です。駐在員の給与・住宅手当まわりでは、以下のようなケースで齟齬が生じる可能性があるため、実務上注意が必要です。

 

① 家賃の二重払い・名義不一致

 会社が大家に直接送金する一方で、駐在員本人にも住宅手当として現金給付している場合、給与明細上の非課税扱いと実際の資金の流れが一致しないことがあります。銀行データが税務当局に定期的に渡ることで、こうした不一致が可視化されやすくなります。

② 給与の二重払い・按分の齟齬

 日本本社からの送金分とベトナム法人からの支給分が両方存在する駐在員の場合、日本側の支給がPIT申告に正しく反映されていないと、ベトナム側口座への入金額と申告所得額のギャップとして検知される可能性があります。

③ 家族名義口座への送金

 生活費や子女教育費を配偶者名義の口座に送金しているケースも、実質的受益者情報の提供対象に含まれるため、名義と実態のズレが把握されやすくなります。

駐在員・企業が今すぐ確認すべきこと

  • 給与・住宅手当・一時金など、駐在員に対する金銭給付の全ルート(日本本社支給分・ベトナム法人支給分・現物給付分)を洗い出し、PIT申告額と実際の入金額が整合しているか確認する
  • 家賃を会社が直接支払っている場合、その金額が駐在員個人の課税所得計算に正しく反映されているか、経理・人事部門と再確認する
  • 配偶者・家族名義口座を生活費送金に利用している場合、送金目的と資金の性質を説明できるよう整理しておく
  • 今後のPIT申告・確定申告に向けて、上記の不一致がないか事前にチェックする

まとめ

 「銀行口座情報の当局提供」は、一部では撤回されたと報じられたものの、最終的には政令252/2026/NĐ-CPとして正式に維持・施行されました。狙いは全件監視ではなくAIによるリスク検知とされていますが、申告額と実際の資金移動に齟齬があれば、これまで以上に把握されやすくなったのは事実です。銀行口座の情報提供制度は、税務調査の強化そのものではなく、税務当局が保有するデータを活用したリスク分析を高度化することを目的とした制度です。この機会にご自身の給与・手当の資金フローと申告内容が一致しているか、一度見直されることをお勧めします。

 

東京コンサルティングファーム ベトナム拠点 下田琴美 

 

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