- 2020-12-1
- ビジネスストラクチャーと関税, 投稿一覧
こんにちは。東京コンサルティンググループトルコ支社の吉田瞬です。
前回までは、2週に渡りプロジェクトベースでのトルコ進出に関するポイント・留意事項について記載致しました。今週からの2週は、トルコに活動拠点を設置することなくビジネスを行う場合に想定されるリスクや留意事項について、書いていきたいと思います。
トルコに活動拠点を有していない一方で、日本や第三国からの輸出販売、サービス提供といった形でトルコ国内企業と商取引を行われている企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。前提として、トルコ国内に活動拠点を設けず、ビジネスを行うこと自体に問題はありません。他方、特定の場合においては、PEリスク等が発生する可能性もある為、注意が必要になります。今週は、日本にある親会社等から出張者を派遣する場合を例に挙げ、リスクや留意点を説明させていただきます。
ケース①: 親会社等から出張者を派遣する場合
トルコに活動拠点を設けていなくとも、取引先訪問、潜在パートナーとの商談、市場視察等、様々な目的で出張者を派遣する場合があるかと思います。先週のブログでも取り上げた通り、トルコへ日本人の出張者を派遣する場合には、直近180日間のうち合計90日以内の短期滞在については査証の取得が免除されています。従って、出張者の滞在期間が90日以内である場合には、活動拠点の有無に関わらず、査証の取得申請を行うことなく滞在が可能です。一方、出張者が90日を超える長期に渡りトルコに滞在する場合には、労働許可証の取得が必要になります。労働許可証はトルコ国内の活動拠点の情報と紐づけて取得申請を行う必要がある為、活動拠点がある場合には、労働許可証を取得する、つまり駐在員となることで90日を超えて滞在することが可能です。労働許可証の有効期限内は滞在日数の制約もない為、日本とトルコの往来も自由に行うことが出来ます。一方、トルコに活動拠点がない場合には、前述の理由により申請自体を行うことが出来ません。従って、出張者の派遣は直近180日間のうち合計90日以内の期間に留める必要があります。言い換えれば、出張者が査証免除期間を超過してトルコに滞在する場合には、形態に関わらず何らかの活動拠点の設置が必要になります。
又、本ケースにおける追加の留意点として、現地税務当局より、出張者が実質的に拠点を設けて営業活動を行っていると認定された場合には、例えトルコ国内に恒久的施設(PE: Permanent Establishment)が存在しない場合でも、トルコで発生した事業所得について課税されるリスク(PEリスク)があります。従って、長期渡り出張者を派遣し、市場調査や営業活動等を行われる場合には、上記の様なリスクを回避する為にも事前に活動拠点を設置されるのが得策かと存じます。
今週は以上となります。
弊社ではトルコへの進出、トルコビジネスに関連した各種アドバイザリー等々についての無料相談も行っておりますので、上記内容以外にもご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。
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東京コンサルティングファーム・トルコ拠点
吉田瞬
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