
皆さま、こんにちは。タイの安藤です。
今回は、タイの「税効果会計」についてお話ししたいと思います。
税効果会計とは、会計上の概念で、将来の会社の税金負担を減らす効果または増やす効果を財務諸表に計上することです。
勘定科目でいうと、貸借対照表だと「繰延税金資産」と「繰延税金負債」が当てはまります。
日本にはない会計概念であり、非上場企業は任意適用となっておりますが、親会社の連結財務諸表へ与える影響などを考慮した結果、タイの法定財務諸表においてもこれを適用するというケースも見受けられます。
日本との相違点は以下4つがあります。
- 税効果会計適用に対する煩雑さ
- TAS 12に基づいて作成する必要があること
- 会計と税務の差異を把握している必要があること
- リース取引の扱いについて
1.税効果会計適用に対する煩雑さ
タイではBOIにより会社の事業ごとに税制上の恩恵が与えられます。
したがって、事業ごとに損益計算を行い、税金計算や繰越欠損金の計算と管理を行う必要があります。
このように、タイで厳密に税効果会計を適用しようとすると、BOIの税務恩恵を受けている場合、事業ごとに税効果会計を行う必要になりますので、日本よりも複雑になる可能性があります。
2.TAS 12に基づいて作成する必要があること
適用する場合、財務諸表の本表だけでなく、注記事項も含めて全てTAS12に基づいて作成する必要があります。
この注記はボリュームがあり、この注記を作成するタメに財務諸表を数値を算出する際に根拠とした情報や解釈するために必要となる情報を収集することが要請されます。
さらに、この注記の内容は現地で監査を受ける必要があります。
3.会計と税務の差異を把握している必要があること
タイの税務申告書上には、日本でいうストック情報を掲載しているような別表五が存在していません。したがって、税務効果会計を行うにあたって、会計と税務の差異である一時差異を正確に把握しておくことが大事になります。
そのため、税効果会計適用の際は、自社で管理表を作るなどして適切に情報管理することが大事です。
4.リース取引扱いについて
タイの会計上TAS17では、リース取引を「ファイナスリース取引」と「オペレーティングリース取引」に区分して会計処理をする必要があります。
一方タイの税務では、すべてのリース取引についてオペレーティングリース取引として処理する必要があります。したがって、会計上のファイナスリース取引として会計処理されているものに関しては会計と税務との間で取り扱いに差異が生じています。
このこともあり、税効果会計の適用対象になると考えられています。
今回は以上といたします。
今週も読んでいただき、誠に有難うございます。
本グログがご活躍される駐在員の皆様、および今後進出をお考えの皆様の一助となれば幸いです。
次回もどうぞ宜しくお願い致します。
株式会社東京コンサルティングファーム タイ拠点
安藤 朋美
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