タイにおける公開会社の清算について

今回はタイにおける公開会社の清算についてお話します。

 

タイにおいては、外国人事業法により外資マジョリティでの進出を 規制されている業種が多くあり、日系企業においても合弁で進出して いるケースが多く存在します。合弁での進出の場合の多くは、タイの 合弁先と合弁契約書を締結することになります。進出後、事業がうま くいっている間は、この合弁契約書を見直す機会などはあまりないで すが、会社の清算時(合弁契約解消時)には、合弁契約書を再確認する必要があり、その際に思いもしない落とし穴が見つかることがあり ます。 これは、進出時に最悪のケースまで想定し、先の清算(契約解消) に至るまでの考察・協議が足りていなかったことが要因となります。
以下にタイにおける会社の清算手続の概要および、進出時における 合弁契約書作成にかかわるポイントについて会社清算(契約解消)を 念頭に説明します。

■清算手続

タイでは、会社を任意に解散および清算することができます。当該 手続は、主に以下の手順となります。

現地法人を解散させる際には、株主による特別決議が必要とされ、 株主総会に出席した議決権を持つ株主の4分の3以上の賛成多数をも って可決されなければなりません。この解散決議が可決されなかった 場合、裁判所に申立を行い、事業継続が不可能と判断された場合は解 散が認められますが、この手続には1年以上かかることがあります。

また、債務の支払や資産の分配といった事務処理の担当として清算 人を任命する必要があります。この清算人は民商法典1250条で「清 算人の義務は、会社の業務を整理すること、その債務を支払うこと、 及びその資産を分配することである」とされており、解散もしくは清 算する日系企業が、清算業務を依頼した法律事務所の弁護士を清算人 に指名するケースは多くなっています。

次に、任命された清算人は、会社の解散登記完了の日から15日以 内に解散の旨を所轄税務署へ通知する義務を負います。これを怠った 場合、会社に対して予定納税額に加え、それと同額の加算税の支払を 求められることがあります。

なお、解散日以後、タックスクリアランスが発行され、所轄税務署 からVAT登録の抹消通知が届くまでは、毎月の源泉税およびVAT申 告・納付を継続する必要があります。 したがって、上記手順を踏み、会社の解散および清算に関する法的 手続を行いますので、数カ月から数年を要する場合があります。

 

[進出時の注意点]
最も重要なのは、進出を検討する段階で、具体的な数値で出口戦略 を検討しておくことです。特に合弁会社でポイントとなるのが、株主 総会での決議と債務超過の場合の負担割合です。合弁先とのトラブル を防ぐためにも具体的な基準を合弁契約書に明文化しておくことが必 要となるのです。債務超過については、「出資比率に応じて債務を負 担する」という事項、株式を譲渡する場合は「資産鑑定人による評価 に従う」というように株価の基準も明記しておくとよいでしょう。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

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2019-10-23

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