タイにおける撤退の手続き

先週に続き、少し暗いトピックです。そう、撤退です。出来ればこんなことは考えたくありませんが、全ての事業がうまくいくわけではありませんので、こういったことを事前に知っておくことで、いざという時に焦らず、最良の選択をして頂けることと願います。

タイでは、会社を任意に解散及び清算することができます。会社の閉鎖手続きは、主に以下の手順となります。

①会社の解散決議(特別決議)
②会社の残資産の処分及び株主への分配
③解散登記
④新聞広告(解散登記後14日以内)
⑤所轄税務署への通知(解散登記後15日以内)
⑥清算財務諸表の作成・監査
⑦法人税税務申告(解散日後150日以内)
⑧税務調査(タックスクリアランス)
⑨清算完了

現地法人を解散させる際には、株主による特別決議が必要とされ、株主総会に出席した議決権を持つ株主の4分の3以上の賛成多数を以て可決されなければいけません。この解散決議が可決されなかった場合、裁判所に申し立てを行い、事業継続が不可能と判断された場合は解散が認められますが、この手続きには1年以上かかることがあるので注意が必要です。

また、債務の支払や資産の分配といった会社事務を処理する為、精算人を任命する必要があります。この精算人は民法1250条で「清算人の義務は、会社の業務を整理すること、その債務を支払うこと、およびその資産を分配することである」とされています。解散もしくは清算する日系企業の多くは、この精算人を清算業務を依頼した法律事務所の弁護士に指名するケースが多いと思います。

会社の解散登記完了の日から15日以内に、清算人は解散の旨を所轄税務署へ通知する義務を負いますが、これを怠った場合、会社に対して納税額に加え、それと同額の加算税の支払いを求められるので、ご注意ください。

解散日以後、タックスクリアランスが完了し所轄税務署からVAT登録の抹消通知が届くまでは、毎月の源泉税及びVAT申告・納付を継続する必要があります。もちろん、これを怠った場合もペナルティが発生します。

会社の解散及び清算に関する法的手続きの期間は、数か月から数年を要します。撤退にもしっかりとした準備と計画が必要です。

Thailand駐在 小林 平悟

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2019-10-23

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