タイの充実したインフラ

今回はタイの充実したインフラについてお話します。

1990年代後半以降のタイでは、まず1997年のアジア通貨危機に よって問題が顕在化した金融・財政システムの改革と安定化を図るこ とが最重要課題となり、輸出産業の競争力強化・高付加価値化を進めることが重要な側面の1つとなりました。また、現地に進出している日系企業の側でもアジア通貨危機を受けた事業構造の再編が進む中、 タイでのインフラ整備や人材の育成が進展しました。 日本も高速鉄道・都市鉄道整備をはじめとする各種案件の売り込みを実施しています。

インラック政権は2013年、7年間の大規模インフラ計画のため GDPの約20%に匹敵する総額約2兆バーツの予算案策定を進め、借り入れを行うなど大胆な政策で次々と法案を可決させました。2014 年に発足した国家平和秩序評議会(NCPO)による軍政の下では、在来鉄道複線化や都市鉄道・道路整備等、直近で優先度の高いものに絞り込む動きがみられます。

[2022年までに約1兆8,000億バーツの投資]
タイ政府は2022年までに約1兆8,000億バーツ(約5兆8,000 億円)を投資し、都市間鉄道や高速道路などのインフラを整備すると宣言しています。

[道路]
タイは、アメリカ軍の基地が国 内各地に配置された時代に、国内の道路整備が急ピッチに進められ、全国で6.7万㎞以上の道路が 整備されました。アジアハイウェイ(Asian Highway Network)の導入や政府のアジアの貿易拠点化戦略(タイを東南アジアの交通ハ ブとして発展させる政策)に基づくインフラ投資により、高速道路 の整備も進んでいるため、良好な道路環境が作られています。

しかし、バンコク市内の道路交 通は、世界一といわれるほど渋滞 が激しい状況であり、高架鉄道 (BTSやスカイトレインと呼ばれる)や地下鉄(MRT)の運行によっても解決されておらず、交通網がマヒすることが少なくありません。 将来、近隣諸国の整備が進めば道路輸送の一層の発展が期待できます が、バンコク首都圏の渋滞解消が課題となっています。

[空港及び港湾]
空路は、7カ所の国際空港に加えて商業用空港が28カ所あります。タイはバンコク新国際空港(スワンナプーム空港)が地域の航空網のハブとなっています。2035年を目標とし、空港周辺への土地利用計画を含めたスワンナプーム臨空都市の開発計画が作成されており、ス ワンナプーム国際空港とバンコクを繋ぐスカイトレインなどの鉄道が すでに整備され、東部臨海工業地域、中央地域の北部、西部を結ぶ交 通網の拡充も計画されています。

海運では、バンコク港(クロントィー港)、レムチャバン港、マプタプット工業港などの港を有しています。バンコク港は、50年以上、タ イの主要港としての役割を果たしており、年間取扱量1万2,000総ト ン数超を誇る国際港湾です。ラオス、カンボジア、ミャンマー、ベト ナム、中国にアクセス可能な水上輸送では、これらの整ったインフラ 網によって、効率良くロジスティックスや配送を行うことができます。

[鉄道]
タイの鉄道は、1889年に開業し、第2次世界大戦後の1951年にタイ国有鉄道として統合されましたが、道路ほど整備は進んでいません。タイ国鉄の主要路線は、おおまかに①北線、②東北線、③東線、④南線の4線に分けられ、営業路線は延べ約4,000㎞ですが、大半が単線であり、物流インフラとしてはあまり期待できない状況となっています。

[電力]
他の新興国の共通の悩みである電力不足もタイではほとんど問題に なることはありません。タイ発電公社(EGAT)が、東日本大震災の 影響で電力の供給能力が低下している東京電力に、発電機2基を周辺 の設備も含めて丸ごと無償で貸し出す決定をしたことからも、自国の 安定的な電力供給をうかがい知ることができます。 場所によっては月1~2回の瞬間停電はあるものの、復旧は早く、 タイの電力事情は安定しています。瞬間停電は雨季(6~10月)に 多くなる傾向にありますが、日系企業へのヒアリングによると、おお むね数秒、長くても1時間以内には回復しているようです。熱帯性気 候のもとにあるタイでは、例年、暑い季節に当る3~5月にかけて最 大電力が発生しますが、需給調整のための計画停電等が行われることもなくなっています。

タイの将来の電力計画ですが、タイ政府は、東南アジアで最も早く 新エネルギーに関する政府支援制度を導入するなど、2022年までに 全エネルギーの20%を新エネルギーとすることを公表しています。 それを受けて、2012年、三菱商事が世界最大級となる発電容量 73MWの太陽光発電所をタイのロッブリ県に開発し、今後25年間タ イの発電公社EGATに売電されます。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

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2019-10-23

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