タイにおける移転価格税制

近年、企業の国際化が進み、国際取引が盛んになる中で各国で移転価格税制の導入・整備がより一層進められています。ここ、タイにおいてもタイ税務当局が移転価格税制の担当部門の増員を図り、移転価格税制に関する体制強化の声を耳にします。

最近は円高の影響もあり、日系企業の海外進出が目立ちますが、こういったところで足元をすくわれない為にも、しっかりとした準備が必要になってきています。

さて、タイにおいて移転価格税制の根拠法となっているのは、タイ国歳入法となっています。ここには、「納税者が関連者との取引に関して、独立企業原則に反した取引を行っていた場合、係る納税者の課税所得及び損金算入処理を行った費用に関し、税務当局が更生を行うことができる」としています。

この、更生についてですが、係る更生が行われた場合、本税に対する追加納税に加えて、最大で追加納税額の100%までの罰金、及び追加納税額に対して月利1.5%の延滞税を課されることとなります。

以下に移転価格調査の対象となり易いケースを挙げておきます。

□グループ会社間での取引を行っている(ロイヤルティの支払、マネジメントフィーの支払など)
□業界の平均利益水準に対して低い利益水準となっている場合
□継続的な損失を計上している
□売上総利益率の変動が激しい(特にBOI税務恩典終了後に急激な下落があった場合)
□移転価格に対する体制を整えていない

移転価格調査は、まず納税者の申告内容の精査から始まります。その際に、上記に挙げた要因が見られる企業を抽出し、質問表又は資料提出請求をしてきます。この際に、大体1か月以内に提出できなければ、タイ税務当局自らが独自のデータを基に算定した独立企業価格をベースとして調査が進められてしまいます。こうなってしまうと、納税者は不利な立場に立ってしまうことが少なくありません。
ですので、上記にあげた要因に一つでも当てはまる企業は、しっかり書類等を揃えておくことをお勧めします。どういった書類を準備しておくべきか分らない場合は、専門家にご相談ください。

因みに、タイにはAPA(Advance Pricing Agreement:事前確認制度)があり、タイともう一方の国との当局間で租税条約に基づく相互協議を行い、事前確認申請について両当局から確認(合意)を取り付ける2カ国間事前確認申請というものがあります。こちらを取得しておくと、APAの合意内容の範囲内で取引を行っている限りは、過少申告追加算税、延滞税、罰金等を課されることはないとされています。

Thailand駐在 小林 平悟

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2019-10-23

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