タイにおける減価償却

タイでは、「1984年減価償却に関する勅令145号」により、その対象、償却方法が定められています。以下、タイにおける一般的な減価償却率になります。

※1 賃貸借契約書がない場合か、契約書はあるが連続的な更新を認める条項がある場合
※2 賃貸契約書はあるが、更新の条項無。または、更新の期間に制限のある場合

注1)割賦購入の場合、その支払合計額を取得額として償却が認められますが、一事業年度中の割賦支払額を超えて償却することは出来ません。
注2)期中取得資産及び期中除却資産については、使用期間を日割り計算する必要がある。
注3) 中古資産に関しては、耐用年数に関する特別な規定がなく、通常の新品と同様に扱う。

<その他特定の資産に対する特別償却>
・研究開発用の機械装置については、歳入局長の承認を得て初年度40%で特別償却し、残額は、年間20%を超えない一定の償却率で償却する。
・コンピュータ、ソフトウェア及び周辺機器は、取得価額を3年間で償却する。
・乗員10人未満のバス及び乗用車は、その取得価額のうち100万バーツまでしか償却できない(会計上は100%償却対象となる)。

<中小企業に適用される特別償却>
※中小企業の定義は、土地を除く固定資産が2億バーツ以下で、かつ従業員が200以下となります。
・工場建物は取得日に25%を償却、残りは年間5%以内で償却する。
・機械、設備は取得日に40%を償却、残りは年間20%以内で償却する。
・コンピュータ、周辺機器、ソフトウエアーは取得日に40%を償却、残りは取得日から3会計年度以内に、一般に妥当と認められた方法により償却する。

タイの税法上、償却期間は上記の償却年数以上の期間を設定しなければいけませんが、会計上、上記の期間より長い期間で償却する場合、税務申告上で調整することは認められません。償却年数も資産ごとに一律になります。

タイの税法では、日本のように法定残存価額、税法上の償却限度の制度はないので100%償却することが可能です。しかし勅令145号8条によりゼロにすることは出来ないので、1バーツの備忘価格を償却期間経過後も除売却までは残すという処理が行われています。

日本では取得価額が10万円未満の減価償却資産は、使用に供した事業年度において一時的に損金処理することが認められていますが、タイではこのような金額基準はなく、原則的に使用可能期間(耐用年数)が1年を超えるものは税務上すべて資産計上し、税法の規定に従った減価償却費を損金処理する必要があります。また、現状維持のための単なる修理は、修繕費となりますが、資産増設、改変、拡張または改良のための支出は資産計上する必要があり、損金とならない点に注意が必要です。

Thailand駐在 小林 平悟

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2019-10-23

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