人事制度導入や改定時の確認事項

タイ事務所の長澤です。今週はタイの人事制度についてです。

タイにおいて、人事制度の導入や改定を行う場合には、以下の点をはじめに確認しておく必要があります。

◆業種(工場/商社):業種により、組織体制が異なり、求められる精度の複雑さも変わってきます。

◆労働組合の有無:労働組合の有無は賃金制度及びその運用、特に決定に大きく影響があります。

◆ISO等取得の有無:ISOがある場合、人事考課の基準にISOを流用する、整合性をとるなどの対応が必要となります。

◆地域:地域による賃金差を考慮すべきです。

◆制度導入/変更の目的と現行制度の問題点:どのような目的で導入/変更するかによって制度の構成が変わります。

◆社内人事関連規定の整備状況:これまでの規定がある場合には、整合性ととり調整する必要があります。

◆対象職種及び組織図(社員数含む)
・製造管理
・製造技術
・製造ライン
・営業
・営業事務
・貿易
・経理
・総務人事
・庶務
業種とも合わせて、どのような体制でどのような範囲で適用するかは構築の際のポイントになります。

◆対象制度
・賃金制度
・等級制度
・評価制度
・その他(福利厚生、職務分掌、キャリアパス、評価マニュアル)
上記の目的とも照らして、どのような構成、複雑さで構築するかに関わります。

 また、人事にかかわる日本や各国との比較という観点で、タイの特徴を以下にまとめていますので、ご参考下さい。

賃金制度の違い

タイの賃金制度の背景として、失業率が他のアジアの国と比べて低く、より高い給与を求めての転職が盛んに行われる関係上、賃金を下げることが難しいということが挙げられる。GDPも毎年2ケタに近く上昇しているためそれに合わせて毎年昇給するのが一般的になっている。そのため等級制度を作成してもすぐに実態と乖離した物になるため、等級制度を利用している企業は少なくなっている。業績給に関しては、業績に応じた等級を設定しているケースがみられる。
ただし、等級制度を作成することで、従業員各自が自己の将来的な給与額を予想でき、キャリアプランを作成しやすいといったメリット等があるため、手直しをしながら運用するのであれば、等級制度を導入することのメリットがある。将来的な給与額が予想できなければ、目先の給与額が多い企業へ転職するということも考えられる。

ジョブディスクリプション

タイでは、比較的詳細なジョブディスクリプションを設ける企業が多くなりつつあると言える。欧米型の管理手法を導入して、業務や昇給などの評価基準に明確にしていこうという動きがあるためである。
ただ、ジョブディスクリプションの副作用として、自分の仕事の範囲を限定する意識が強くなるため、失敗要因のなすり付け合いや、互いに業務範囲を限定するためにカバーできない仕事の隙間ができてしまっているケースもある。

人事考課の違い

従業員同士で給与額を教え合うのが一般的であり、誰がいくらもらっているのか分かってしまう。また、同業他社の賃金水準も分かってしまうため、評価基準を明確に設定する企業が多い。
また、人事考課は成果主義の面が強いが、上述の通り、成果をそのまま賃金に反映させるのも難しいところがある。

教育に関する違い

日本では、OJTがメインでOFF-JTがその補完という位置づけになっているケースが多いが、タイでは、OFF-JTがメインでOJTがその補完という位置づけになっている。その理由としては、「教え方が分からない」「教える習慣がない」ために、OFF-JTがメインになっていると言われている。

 

 まずは、何に取り組まないといけないのか、その際のポイントを押さえ、上記のような日本、各国との違いを知ることで、制度の導入、変更においての第一歩を踏み出せるかと思います。

 

タイ進出セミナー開催

《東京》2014年3月17日(月) 開催!<無料>
《大阪》2014年3月10日(月) 開催!<無料>
《名古屋》2014年3月19日(水) 開催!<無料>

 

東京3/17、名古屋3/19は、ブログの著書であるタイ駐在員長澤直毅が講師です。

海外に進出する際に、事業部の責任者や赴任者が知らなければならない
各国の経済状況を始めとした基礎的な知識から、海外への日系企業の進出
状況や会社設立フロー、さらには投資環境や税制についてまで、充実の内
容でお届けします。今後海外への展開を視野に入れた際、貴社が展開すべ
き国はどこなのか、弊社のセミナーを通じて貴社が海外へ事業展開する際
の方向性をお示し致します。

時間:19:00~21:00 開場 18:30

会場

<東京>

東京コンサルティンググループ 東京本社 オープンフロア
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビルディング7階
地図

<大阪>

東京コンサルティング・グループ 大阪支社

〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎2-7-9 豊崎いずみビル9階……地図

<名古屋>

東京コンサルティング・グループ 名古屋支社

〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅5-3-8 名駅モリビル4階……地図

 費用無料


<タイセミナー詳細>

第一部 

19:00~20:00  会社設立

1.日系企業のタイ進出状況
2.タイでの会社設立の実務とBOIの概要
3.タイで日系企業のとるべき事業戦略

 

第二部 

20:10~21:00 会計・税務・労務

1.タイの税制の体系と特徴
・個人所得税
・法人所得税
2.タイに関わる税務規定
・PE認定課税
・外国控除税額
・移転価格税制
3.主要税目個別解説
4.タイの労働環境
5.タイの労働法の概要
6.タイの社会保険の概要
7.駐在員の諸手続き

 

※当日個別の相談も承ります。詳しくは弊社までお問い合わせください。

参加ご希望の方は、下記ご明記の上、
問い合わせフォームよりお申込みください。

セミナー名には以下のいづれかをご明記ください。
「タイ進出セミナー」(東京、3/17)
「タイ進出セミナー」(大阪、3/10)
「タイ進出セミナー」(名古屋、3/19)

 

以上

東京コンサルティングファーム

長澤 直毅

  

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2019-10-23

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