
こんにちは。
TCF(Thailand)の高橋です。
タイの会計に関して第二回目は、タイの経理担当者に関して
説明していきたいと思います。
会社経理担当者について
タイの会計制度の大きな特徴として、「会計記録責任者」と「会計記録担当者」を必ず設置しなければならないとされています。
「会計記録責任者」とは、事業体の会計について責任を負うもの(サイン権者)をいい、会計基準に準拠した適正な財務諸表を作成すること、帳簿の一定期間保存するなどの義務を負います。
一方、「会計記録担当者」とは、事業体の記帳などを行ういわゆる経理担当者を指します。具体的には設立後1ヵ月以内に任命し国税局へ届け出ることが義務付けられています。「会計記録担当者」については要件が定められており、以下の要件を満たす者を登録しておかなければなりません。
・タイで会計帳簿を作成するためには、会社経理担当者(Bookkeeper)を定め歳入局に登録する必要がある。 なお、会計経理担当者には要件が定められています。
【会計経理担当者の5つの要件】
|
小規模会社 の場合 (登録資本500万バーツ以下でかつ総資本が3千万バーツ、総収益が3千万バーツ以下の会社) |
大規模会社、その他 の場合 (左記小規模の要件に当てはまらない会社 ― 公開株式会社、外資企業、銀行、金融業、証券、保険業、BOI認可企業など) |
要件① |
タイ国内に居住 |
同左 |
要件② |
タイ語の能力を有する |
同左 |
要件③ |
会計法による禁固刑の最終判決を受けていない |
同左 |
要件④ |
職業高校で会計課程5年を終了した者、短期大学卒業以上でかつ会計に関する学科を終了している者、あるいは関係公的機関からそれらと同等と認められた者 |
4年制大学卒業以上でかつ会計に関する学科を終了している者、あるいは関係公的機関からそれらと同等と認められた者 |
要件⑤ (就任後) |
3年間で27時間以上のセミナー受講義務 |
同左 |
実務上は進出当初から上記のようなタイ人を雇用するケースは少なく、タイへ進出する中小企業の多くは、会計事務所に名義貸しと記帳代行をセットでアウトソーシングしているケースが圧倒的に多いようです。注意点としては、会計記録作成担当者と会計監査人を同一の会計事務所で担うことができません。そのため、多くの会計事務所は他の会計事務所や公認会計士と相互に委託契約をすることで、会計サービスと監査業務を提供しています。
■会計士資格について
タイには職業会計人として働く際に大きく分けて2種類の資格があります。
■会計記録責任者
会計法に基づく有資格者で通常はCPD(Continuing Professional Development : 継続的能力開発制度)と呼ばれています。
■公認会計士
日本と同様に国家資格でCPA(Certified Public Accountant)と呼ばれています。
2000年会計法において原則全ての法人は、公認会計士の監査を受け財務諸表を政府機関に提出することが求められています。また、同法によって各企業はCPDの選任を義務付けられています。
社内で直接CPDスタッフを雇用できない場合は、外部の会計事務所等にCPDのサイナーを外注委託しているケースが多くあります。
これらの各会計資格はタイ人にしか現在与えられておらず、 日本国会計士や日本国税理士、USCPA等の資格保有者が対応できないため、CPDライセンス保有者と同様慢性的に公認会計士数も不足しています。
また、法律上、会計記録作成者と会計監査人を同一の会計法人が担うことはできません。
さらに、会計事務所や監査法人の多くはバンコクなどの大都市に集中するため、郊外の工場やCPDやCPAが少ない地方都市では十分な教育や経験を持つ職業会計人が少なく、満足のいくサービス提供を受けにくいのが現状となってしまいます。
優秀な会計人材の確保
自社で経理処理を行う場合には、タイ人スタッフでCPDライセンスを保有するスタッフを直接雇用するか、会計事務所等に外注委託をすることが会計法等で義務付けられています。
このCPDライセンスは日本の税理士資格に似たライセンスですが、日本とは異なり試験合格を条件としたライセンスではなく、
大学等で会計を専攻し卒業したことを条件に申請ができるライセンスです。
ライセンスを保有し続けるためには一定のセミナー受講等はありますが、会計・税務に関する実務経験が無い新卒者から、税務当局とのやりとりや、BOI企業の税務申告書を書くことのできるレベルまで様々です。
経理処理が複雑で、複数の経理スタッフを雇用する必要のある企業であれば、マネージャーレベルからアシスタントレベルまで複数人CPDライセンス保有者を社内雇用することが可能ですが、多くの日系企業の場合間接部門に多くスタッフを抱えることは難しいことが現実です。
特に会計実務+語学を求めると高額な給与水準となってしまいます。
社内でCPDスタッフを直接雇用するメリットとしては、日々の会計処理が早期に対応できるので、財務諸表確認等素早い経営判断ができることや、社内に会計スタッフがいることで経営方針や会計処理判断などが早期対応できることです。
デメリットとしては、退職されてしまった際の対応や、常駐する日本人が経理スタッフの能力判断をしにくい点などがあげられます。
社内の人員、給与、本社側からの経理面のサポートなど総合的な判断が必要ですが、タイの企業数とCPDライセンス保有者の数を比較すると職業会計人の方が圧倒的に少なく優秀な人材確保は難しい状況となってしまうことも日系企業にとって大きな問題点の一つでしょう。
弊社では、主に会計、経理担当者に特化した人材紹介を行っております。
弊社の基準を満たしたスタッフのご紹介を行っているため、安心して経理業務を任せられるスタッフの採用を行うことができます。
もし、経理スタッフの採用を考えている方がいらっしゃいましたら、
ご連絡頂ければと思います。
以上、何かその他のことに関しましてもタイビジネスで御不明点等がございましたら、気兼ねなくお問い合わせいただければ幸いでございます。