タイ移転価格に関して

いつもお世話になっております。

Tokyo Consulting Firmの高橋です。

 

今月のニュースレターでは、

今年1月3日にタイ内閣によって承認された移転価格改正草案が公表されましたので、移転価格税制に関して、記載していきます。

 

2018年1月3日に、タイの内閣は移転価格改定草案を承認しました。

3月13日現在、明確な記載内容等の公表は未だされていませんが

実施されることは間違いないと考えれるため、早めの準備を行っていく必要があります。

 

そのため、今回のニュースレターでは、

1.   移転価格税制とはそもそも何か?

2.   移転価格文書とは

3.   タイの移転価格のこれから

について記載していきたいと思います。

 

 

 

 

 

1.  移転価格税制とはそもそも何か

 

移転価格税制の特徴を簡単に表すと下記の3点に集約されるか思います。

 

・各国課税当局(税務署)による企業所得の取り合いを円滑にするためのもの

・移転価格に関する更生を受けた場合、二重課税が発生する

・意図的か否かに関わらず、移転価格が適正でなければ、更生を受ける可能性が高い

 

といった点が挙げれます。

 

そもそも移転価格税制とは、複数の国で活動を行っている多国籍企業の、国外関連会社との取引価格(タイでの国外関連会社の定義は3にて説明します)を、非関連会社との間で行われた取引価格(独立間企業価格と呼びます)で計算しなおすことにより、国外関連会社との取引を通じて、所得が他国に移転するのを防ぐための税制となります。

 

つまり、移転価格税制とは、

企業グループ内の取引価格が、グループ企業でない第三者との取引価格(独立企業価格)と異なる場合に、独立企業価格で取引したものと見做して改に課税する制度と言い換えることができます。

 

国際取引関連の諸税制の中でも、移転価格税制が企業によってはコストをかけてまで、注目される理由には、取引対象の範囲が広く、また、調査で問題となる更生額の金額が多額となり、追加での追徴や、罰金が企業にとって大きな問題となる可能性が高い点があげられます。

また、移転価格文書を作成するにあたり、多大な労力、費用、時間を要する必要があるため、事前の準備が必要不可欠となっています。

 

また、移転価格を算定するにあたり、重要となるポイントが「独立企業間価格」と同様の価格の算定方法です。

主に算定方法は以下の5つの手法が定められています。

(ここでは簡単に説明させていただきます。)

 

1.独立価格比準法

→国外関連会社間でかかる取引価格と独立企業間でかかる価格とを直接比較する方法。

2.再販売価格基準法

→国外関連会社間でかかる売上総利益と独立企業間の売上総利益とを比較する方法。

3.原価基準法

→国外関連会社間でかかる売上原価と独立企業間でかかる売上原価とを直接比較する方法。

4.取引単位営業利益法

→TNMM法と呼ばれており、取引ごとに営業利益の水準を比較する方法。

5.利益分割法

→寄与度利益分割法、比較利益分割法、残余利益分割法がある。

 

算定方法の選択は企業の業種や商流等によって変化し、その中で最も適切な方法を選定しなければなりません。この最も適切な方法の選定にあたって留意すべき事項は、

①     棚卸資産の種類、役務の内容等

②     売手または買手の果たす機能

③     契約条件

④     市場の状況

⑤     売手または買手の事業戦略

などがあげられます。

上記内容を踏まえたうえで、自社にあった移転価格文書を選ぶ必要があるので、早めの準備が必要となってきます。

 

2. 移転価格文書とは

(詳細は今回のニュースレターでは省いております)

 

BEPS行動計画13で定められた移転価格文書は3種類に分けられます。

①    国別報告書(Country by Country Report)

・企業グループの国別での財務情報・事業活動等を記載

・所得、納税額、経済活動等、国別に記載することでグローバルな配分に関する情報を記載

※税務当局によるハイレベルな移転価格リスク評価を目的としている。

 

②    マスターファイル(Master File)

・企業グループ全体に共通する基本情報として、事業活動や移転価格ポリシーを記載

・事業分野ごとや、全事業分野を含む文書を作成する

※税務当局が移転価格リスクの所在を検証できるようにする。

 

③    ローカルファイル(Local File)

・マスターファイルを補完するための資料となる。

・当該国の納税者が独立企業原則に即していることを説明するもの。

3.タイの移転価格のこれから

 

2018年1月3日に内閣府によって承認された内容は下記の通りとなります。

 

①     作成対象となる企業は対象年度において総利益が3,000万THB以上となる企業

(関連会社間との取引が3,000万THB以上との見解もあります。)

②     初回の文書の作成は2017年1月1日~2017年12月31日の会計期間の会社であり、

該当する会社は2018年5月31日までに付表の提出をしなければならない。

③     税務調査担当官は税務調査において5年間遡って調査することが可能となる。

 

また、2017年6月に出された草案では下記内容が発表されています。

 

①     移転価格税制の適用対象法人は確定申告書に併せ移転価格の付表を事業年度末日から150日以内に歳入局に提出(提出できないときは20万バーツ以下の罰金)

②     移転価格税制の適用対象法人は移転価格ドキュメントを保存しなければならない。

当該保存したドキュメントは税務当局からの提出依頼があった場合には60日以内に提出しなければならない(提出できないときは20万バーツ以下の罰金)

③     関連会社の定義は50%の株式を直接又は間接に保有している法人及び実質支配会社、また国外関連取引だけでなく、国内関連取引も対象となる。

 

上記草案より、現状求められている書類としては、

Master FileやLocal Fileのような文書ではなく(税務調査により求められた場合は作成義務が発生する)、会社間の関連性や取引内容等が記載されている税務申告書に付表として添付される書類(上記国別報告書と同様の書類なるかと思われます)と明記されている状況です。まだ、当該書類に関しても明確な記載項目は未だ明示されておりません。

 

また、 現在公表されている内容としては、

法人税申告書の提出日から5年以内に、歳入局は、関連者間取引を有し、かつ、その事業年度の売上収益の額が省令に定める金額(現状3000万バーツ※現状の内容)を超える法人に対し、付表の提出を求めることがあると公表されており、提出を求められた納税者は、その通知を受けた日から60日以内に提出しなければなりません。

ただし、税務調査官はその裁量により、通知日から120日を超えない範囲でその提出期限を延長することができると公表されております。

 

 

そのため、申告書の提出日からすぐに資料を求められるわけではなく、ある程度の猶予期間は現在のところあるかと思います。

今回の法案において、移転価格の文書化義務の対象が一定額以上の売上収益がある法人に限定されていますが、その売上規模は決して高いものではないと考えられ、多くの日系企業が対象になると考えられるため、事前に準備が必要となると考えられます。

 

 

弊社では、他国で作成したことのある国別報告書、ローカルファイルやマスターファイルを基礎とし、現在の時点で土台を作成しておくことは可能です。

 

タイの場合、急に新たな草案等が発表される可能性が大いに考えられるため、リスク軽減のため、現状で国別報告書の土台の作成等を行う企業も出てきました。

 

また、Local FileやMaster Fileの作成も考慮されていましたら、

 

・国別報告書の作成

・Local Fileの作成

・Master Fileの作成

 

といった形でお見積りを提出させて頂くことも可能でございます。

(恐れ入りますが、お見積りには多少お時間いただくかと存じます。)

 

また、より詳細に関して、お聞きしたい方がいらっしゃいましたら、初回に関しては、無料でご対応させて頂きますので、ご連絡いただければ幸いです。

 

以上、その他タイビジネスにおいてお困りごと等ございましたら、

遠慮なくご連絡ください。

 

 

 

関連記事

タイの進出に関する情報提供~所信表明

就業規則について

運営会社HPはこちら

2019-10-23

東京コンサルティンググループ

カテゴリー

↓チャンネル登録↓

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

456人の購読者に加わりましょう
ページ上部へ戻る