皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ シンガポール拠点の田中 勇です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「ACRAによるペーパーカンパニーの強制登記抹消」についてお話していこうと思います。
目次
【ACRAによるペーパーカンパニーの強制登記抹消について】
シンガポールは、投資及び撤退のハードルの低さから毎年多くの新規法人の設立、及び清算が行われています。清算については、当然会社が任意で行うことが一般的ですが、会社以外が主導で行われる特殊なケースもあります。今回はその中から、ACRA(登記局)によって、ペーパーカンパニーのStrike Off(登記抹消)を行うケースについて解説していきます。
1.ACRAによる登記抹消
会社法Section344の定めによると、客観的に、ビジネスや活動を行っていないと判断するに足りる状況がある場合、会社はACRAによって登記抹消通知を受け、その後登記抹消対象として法人名が官報に掲載されることとなります。投資のハードルが低い分、登記後なんら活動が行われないままほったらかしにされる、いわゆる”ペーパーカンパニー”が多くなりやすいシンガポールの現状を踏まえて、これ以上いたずらに実態のない会社が増え続けないように、当局の判断で登記抹消できるようにした制度といえます。こういった会社は資金洗浄などの不正の温床にもなりやすいため、国は特に警戒しています。
2.もし間違った通知が来てしまったら!?
会社が登記抹消対象の候補になると、通知が取締役や秘書役宛などにその旨が書かれたレターが送られます。もし、ビジネスを行っているにもかかわらず、当局の誤りでこの通知が届いてしまった場合は、秘書役等を通してObjection(異議申し立て)をBizfileのページより提出することができます。通知期間が、レターの発行日から30日と、かなり短くきられてしまっているため、なるべく早く提出することが必要になります。また、実態としてビジネスを行っていたとしても、年次報告(Annual Return)などのコンプライアンス業務を怠っていると、ペーパーカンパニーと認識され、通知が届いてしまう可能性があるので注意が必要です。
3.務めた会社で登記抹消が続くと、取締役の資格剝奪?
会社取締役(Director)は、取締役を務めた会社が5年以内に3社Strike Off(登記抹消)となった場合、取締役はそれ以降別の会社で取締役の役職に就くことができなくなります。これは、任意の登記抹消だけでなく、今回紹介したACRAによる登記抹消も含まれます。会社の運営に全く責任を負わない、名義取締役にも影響が出てしまう可能性がある点、注意が必要です。
今回は以上となります。法務のご相談もお待ちしております。
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株式会社東京コンサルティングファーム シンガポール拠点 田中 勇
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