シンガポールにおける個人所得税申告の手続き

税務

こんにちは、シンガポール駐在員の和久井です。

2012年度の個人確定申告の提出受付が3月1日より開始となりました。シンガポールの源泉の給与所得をお持ちの方は、居住性問わず申告することになります。今回初めて申告される場合、2012年のうち183日以上滞在していた場合、或いは2011年から2012年をまたいで総合183日以上の滞在日数は居住者とみなされます。2%~20%の累進課税率で総額によって異なった税率が適用されます。また183日未満の滞在日数の場合は非居住者となり、一律15%(役員・専門家は20%)で課税されることになります。ただし、居住者が享受できる控除申請はできないことになります。総所得に対し課税されますので、日本やその他各国でも受け取られる給与も、シンガポールでの業務提供により生じる所得は申告の対照となります。給与以外にも、会社より個人に対して支給される特別な住宅手当て、通勤、残業代、保険料なども課税対象となります。

シンガポール政府はインターネットを通じた電子申告システムを採用しており、e-filingを通して申告するよう促しています。その為、通常の申告書Form B1のペーパーベースで申告する場合、提出期限は4月15日となりますが、SingPassを使った電子申告の場合は若干延長され、4月18日まで提出することができます。提出が遅れる場合は、各自罰金が課されるため、くれぐれも提出が遅れないよう、事前の申告をされることをお勧め致します。個人で申告することになりますので、基本的に会社から総合支給額を算定したIR8A、いわゆる日本の源泉徴収表のようなもの、を用意してもらい、その他手当て(Benefit-in-kind)を受け取る場合はAppendix 8Aも用意した上で、申告手続きを進めます。

シンガポールの所得税率は最大にして20%までしか課税されないため、高額所得者にとってはありがたい点です。さらには、居住者が受けれる控除項目は多くあり、ご自身の申告の際に該当すれば控除が受けられます。申告前に再度確認のためお役立て頂ければと思います。

①配偶者控除:配偶者が$2,000以下の所得の場合$2,000の控除が可能。日本在住の場合でも可能。

②子供扶養控除:16歳未満で教育を受けていおり、所得を受けないもしくは$4,000以下の所得であることを条件に当てはまる場合は、一人につき$4,000控除が可能。障害者の場合$5,500まで控除されます。日本在住の場合でも可能。

③両親扶養:年齢55歳以上で年収$2,000以下の両親と同居している場合、一人$7,000、同居しない場合は$4,500の控除

③生命保険控除:CPFの本人掛け金が$5,000以下かつ本人がシンガポールの生命保険を支払っている場合。

⑤教育費:ビジネス、職業に関わるもの、学術、専門職の資格取得に関わるものの合計$5,500まで控除が可能

⑥寄付金:条件を満たせば、支払額の2~2.5倍の控除

⑦個人所得控除:所得の30%、$1,500まで控除が可能。

またシンガポール人の場合は、Working mother’s child relief, parenthood tax rebateなども受けることができます。上記該当するものは証拠資料となる証明書や領収書などを保管し、税務局からの問い合わせがあれば直ぐに返答できるようにしておくのが適切です。

またその他給与以外の所得について会社からの現物支給や特別手当などを頂いているかたは、その分についても全額あるいは一部課税となりますので、申告に不安を持たれる方は遠慮なく、ご相談がありましたらこちらまでお問い合わせ頂ければと思います。

またIRASでも具体的な案内や情報を提供しているので、こちらのサイトからもご確認いただけます(英語)。

※記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Pte. Ltd.)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承くださいませ。

以上

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