会社法解説!~シンガポール法人への増資と減資~

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会社法で定められているのは、主に株主と法人の権利義務、具体的には、出資者と取締役の権限がその大半を占めています。

その中で、各国の法律で要件が異なってくる手続きの一つが、増資と減資の手続きです。

今回は、シンガポール法人を管理する上で、知っておきたい会社法上の要件についてお伝えします。

 

増資・減資とは

法人が株式を発行し、合意された価格で出資する人が見つかれば、会社は資本金を得ることができます。

それを原資として、会社はその地で事業を営み、利益が出ればそれを配当として出資者に還元するのが規則となっています。

事業を大きくする、欠損した資本金を補うなどの理由で、この原資を増加させる必要があるとき、増資が行われます。

また、実際には振込を必要としない1ドル出資の形で現地法人を登記しておいて、銀行口座が開設してから資本金を投入する場合も、実務上増資の形式を取ります。

逆に、元々入れてあった資本金が、事業縮小やキャッシュフローの安定化により不要になった場合は、株主にこれを返却する意味で、減資を行います。

 

増資の手続き

実務上、増資の手続きは出資者が会社と合意して振込を行い、その送金および着金の証明を会社秘書役に提出し、払込資本金として登記を行う流れとなります。

書類としては、通常以下のものが作成されます:

・臨時総会取締役決議書(取締役が臨時総会開催を決める)

・臨時総会招集通知書(取締役が臨時総会招集を通知する)

・株式発行授権決議書(2分の1以上の株主が普通決議により株式発行を取締役に授権する)

・株式発行取締役決議書(取締役が株式の割り当てを決める)

・株式引受申込書(株主が出資することを決める)

 

また、送金に際しては、日本からであれば「仕向送金申込書兼告知書(Application And Declaration For Remittance)」の、銀行を介した送金証明書が求められ、シンガポール法人の側では資本金を受け取ったことを示す銀行取引明細が必要になります。

いずれも、2018年以降はスキャン画像でもって会社秘書役への提出を行えば、登記される仕組みになっており、増値手続きはスムーズに完了します。

 

減資の手続き

減資はシンガポール法人の活動を減少させる直接的な行為であり、債権者保護のため、多くの確認事項を伴います。その手続きも、増資手続きと比べて煩雑になります。

手続きの流れとしては、まず臨時株主総会が招集され、支弁能力が証明された上で減資承認の株主総会決議がなされます。

その後8日以内にシンガポール内国歳入庁IRASに減資承認決議の通知が行われ、債権者が株主総会決議から6週間以内に決議無効の申し立てを行わなければ、シンガポール会計企業監督庁ACRAへの登記が行われます。

登記が完了したら、決議された減資金額を株主に返金することで減資は完了します。

書類としては、通常以下のものが作成されます:

・臨時総会取締役決議書(取締役が臨時総会開催を決める)

・臨時総会招集通知書(取締役が臨時総会招集を通知する)

・支弁能力表明書(取締役全員が自分たちの責任で債務を完済できると表明する)

・減資承認決議書(4分の3以上の株主が特別決議により減資を承認する)

・減資承認通知書(取締役が臨時株主総会特別決議での減資承認をIRASに通知する)

・債権者への告示書(取締役が会社に対し債権を保有する当事者全員に減資決議を告示する)

・決議無効申立不在確認書(取締役が、減資承認に対して申立がなかったことを確認する)

 

なお、本来減資の手続きは、取締役による支弁能力表明書(Solvency Statement)ではなく、裁判所による承認の取付と提出を必要としていたものです。

現在は選択制となっていますが、上記の債権者からの決議無効の申し立てがあった場合は、申し立ての棄却など、裁判所を介して異議申し立ての手続きを完了させた後で、初めてACRAへの登記申請が可能になります。

 

以上、シンガポールにおける増資・減資の手続きについてお伝えしました。

 

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