シンガポールの就労ルール!~DP保持者の就労方法~

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TCGのノウハウツールWiki Investmentの中から、シンガポールにおける就労許可のポイントを公開します。

今回は、2021年3月に発表され、5月1日に実行に移されたルールとして、DP保持者の就労、その許容範囲、条件を取り上げてお伝えします。

 

DP保持者の就労環境

就労許可EPを発行されて就労する外国人の配偶者として、DP(Dependant Pass)で滞在する外国人については、従来企業側がLOC(Letter of Consent)を申請、発行することにより就労が許可されていましたが、2021年5月1日から、このLOCの申請・発行ができなくなりました。

従来は、永住権PRを持つ現地採用以外では、EPなど高額の月給を支払うことでしか採用できない外国人従業員が多い中で、パートタイム雇用や期間雇用で柔軟な働き方が許される点、特に駐在員の配偶者として滞在するDP保持者は、日系企業でも重宝される存在でした。

今後は個別にEP/S-Passを取得しなければならない(※)ということで、従前のような自由な働き方が許されなくなりました。

※2022年4月までは移行期間として、通常日本人には発行されないWork Permitへの切り替えが行えることになっており、ある程度時間の区切られた低賃金の雇用でも雇用できるとされています。

また、既に発行されているLOCについては、その有効期限が到来するまでの期間中は、従前の雇用条件で働くことができるとされています。

 

許可されない就労の形態

原則として、シンガポール国内の企業に価値を提供する仕事をすることは、雇用契約か業務委託契約かを問わず、就労許可がなければ一切許されません。

これは、大きくは政府が保護すべき内国人であるシンガポール国籍/永住権保持者の就業機会が奪われないようにするため、シンガポール内国人では提供できない役務を提供する外国人のみに国内での就労を許可する、という原則に沿った動きと言えます。

従って、フリーランサーとして業務委託を受ける活動、日本で給与を受け取る雇用、また給与を受け取らないボランティアのような働き方などは、通常の雇用とは異なる形ではありますが、シンガポール内国人の就労機会を減らす可能性がある点で、いずれも許可されません。

違反が見つかった場合、本人のDP、配偶者のEPだけでなく、EP保持者の雇用主である企業が責任を負い、2年間EP申請等が禁止される可能性もあるため、注意が必要です。

 

DP保持者に許可される活動

DP保持者が行うことのできる活動として、以下の条件全てに符合する雇用があります:

1.シンガポールに滞在する外国人が、海外の企業で従業員として働くこと

2.海外の法人が、シンガポールにある会社と法的に別個の企業であり、従業員の業務がシンガポールのビジネスにとって、何ら影響を及ぼす活動ではないこと

3.外国人がシンガポール国内で顧客と面談したり、役務提供したりしないこと

 

端的に言えば、外国企業はその活動がグループ企業などを介してシンガポールでの役務提供とならない限り、そこで雇用される人間が国内の就労機会を奪うことにならないため、国内の企業等に付加価値をもたらす役務を提供しないのであれば、シンガポール国内で遠隔勤務することは可能、ということになります。

 

なお、上記は同時に、EPその他の就労許可を発行されてシンガポール法人で働く外国人が、兼任の形で業務を提供することのできる範囲でもあります。

 

DP保持者の納税義務

LOCを発行されて就労する場合、DP保持者は他の就労許可保持者と同じように、毎年翌年の4月15日までに確定申告を行い、個人所得税を納税することが求められていました。

今後、LOC発行ができなくなると、DP保持者には上述のような、シンガポール国外の企業での雇用しか許可されなくなりますが、その場合は任意申告(Voluntary Declaration)の制度を使って、個人所得税を申告・納税することになります。

申告は、個人が所得を申告する場合と同じく、シンガポール税務当局IRASのポータルサイト、myTax Portalにログインして行います。

 

また、就労期間が60日未満であったり、年間収入がSGD6,000以下であるような場合は、申告の義務がなくなります。

こちらは、シンガポール国内の口座に給与が振り込まれるか、外国の口座で給与を受け取るかによっては変わらず、シンガポールで滞在しながら役務を提供した時点で、全額シンガポール個人所得税の課税所得となるため、注意が必要です。

 

以上、シンガポールにおける配偶者滞在許可、DP保持者の就労についてお伝えしました。

 

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