シンガポールでも安心を使おう!エスクローを解説!

法務

 

シンガポールを含むアジアでビジネスをしていて、エスクロー(Escrow)という言葉を聞いたことがある方は、少なくないのではないでしょうか。

一般には、エスクローサービスとか、エスクロー口座を利用して購入する、というような使い方をしますが、まだまだ耳慣れない人も多いことと思います。

今回は、シンガポールでもサービスが充実しつつあるエスクローについて、概要と利用法を説明します。

 

どんなサービス?

エスクローという言葉に定訳はまだないようですが、キーワードを組み合わせて表現するならば、これは条件付き決済仲介サービスといえるようなものです。

具体的には、初めて取引をするような相手と高額な取引を行う際に、中立的第三者として間に入り、買い手から金銭を受け取り、売り手から製品/サービスが引き渡されるのを確認することで決済を代行する、信用取引サービスです。

日本やシンガポールでは比較的まれでしたが、アジアでは昔から決済が遅延する、資金がないのに購入を行う、代金を受け取ってサービスを行わないなど、信用できない地域と見られてきました。

 

もちろん、すべての企業がそのような不信を買う取引をしているわけではありませんが、初めての取引先、特に外国から見たいちアジアの国の企業というと、契約書を巻いてもなかなか信用することは難しいものです。

こうした状況を打破するために、ちょうど貿易の際に銀行が信用状を発行して支払いを担保するように、エスクローを用いることで双方が信用を確保して取引を進めることが可能になる、というアイデアです。

 

どんな人たち?

エスクローサービスを提供するのは、やはり銀行など金融機関が一般的です。
シンガポールでいえば、国内最大銀行であるDBSが強くサービスを打ち出しています。

条件としては、国際取引になるのであれば、自国と相手の国の通貨で決済ができるようにすることは必要最低条件ですので、こうした複数の通貨で口座を開設できる機関がエスクローを提供します。

 

比較的身近なところでは、決済した後に商品が届いてがっかりすることの多いオンラインショッピングにおいて、エスクローサービスを使うことで、確実に商品が希望のものであることを確認した後でお金が支払われるようにコントロールすることができるようになります。

こうしたオンラインショッピングに特化したエスクローサービスは個人でも利用が可能で、シンガポールでも人気があり、金融機関以外でも業者として提供しているところがあります。

 

具体的な手続きは?

エスクローの手続きは、一般的に買い手と売り手で合意して決済用の口座を開設し、決済の条件を確定して3者間の契約を取り決めるところから始まります。

買い手がエスクロー口座に対価を入金した後、売り手はエスクロー口座への入金を確認して製品/サービスを提供します。

買い手は合意した製品/サービスが届けられたら連絡を行い、エスクロー提供者はこれを確認して即座に決済を行い、取引を完了させます。

手数料も3者間の合意により取り決められますが、おおむねエスクロー提供者により決済成功時、キャンセル時などの条件が定められています。

 

決済だけじゃない?

特にエスクローサービスの進むシンガポールでは、そのサービスも買い手と売り手に信用を与え、決済を効率化させるにとどまりません。

オンラインショッピングで店舗や買い手に対する評価がものをいうように、エスクロー提供者も決済のたびに売り手と買い手の情報を信用の形で蓄積しており、特に製品/サービスを提供する売り手の情報によって、買い手に資金調達から選定方法、市況や価格相談まで、幅広くアドバイスを提供することができるとされています。

 

もちろん、まずはエスクロー提供者自体が信頼のおけるものであることが必要ですが、M&Aや不動産購入など、シンガポールで行う大きな取引に、安心を添えるための手段として、今後有効な活用が期待されます。

 

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