PEZA企業が今、検討すべきこと④移転価格税制リスク

税務

いつもお世話になっております。東京コンサルティングファームの早川でございます。

優遇税制にメリットを感じPEZA企業として設立された企業にとって、昨今話題の税制改正法案および移転価格税制といった、変化に伴うリスクも視野に入れなければなりません。
今回は、2020年7月に取り締まりが強化された移転価格税制リスクについて、PEZA企業様のよくあるお取引とともにご紹介いたします。

PEZA登録企業は、その特性上、コストセンターとしての役割を担っている企業様がほとんどで、基本的に関連者間取引が伴います。

 

一般的に発生している関連者間取引とよくある現状・そのリスク 主にどの業種に共通の取引か
製造 物流 IT
1. モノの仕入れ・販売(輸出入) ×
a. 売価が独立企業間取引に比べ安い
b. 総所得が競合他社に比べ低い
c. 現地法人に損失が出ており赤字続きなのにグループ全体では利益が出ている場合→本来フィリピン現地法人で利益(総所得)がもっと上がっているものとみられる特にITH期間が終了している企業や法人税免除のない物流業には追徴課税のリスクが。
2. IT サービスの販売                                   × ×
a. サービス水準契約(SLA)がない
b. 売価がほとんどコストと同額である
c. 本社からの技術/ノウハウの移転がある
d. 総所得が競合他社に比べ低い
e. 現地法人に損失が出ており赤字続きなのにグループ全体では利益が出ている→本来フィリピン現地法人で利益(総所得)がもっと上がっているものとみられる。
特にITH期間が終了している企業には追徴課税のリスクが。
3. 無形資産の移転とそれに伴うロイヤリティ ×
自社独自の技術/ノウハウや製造工程の移転があるが、

a. それらがロイヤリティという形で支払われていない
b. それらについて製造供給契約等で記載されていない
c. 技術サービス契約や研修が技術/ノウハウの移転として判断され、それに対する費用が「ロイヤリティ」であると判断される
d. ロイヤリティとして支払われているが移転価格リスクが検討されていない

リスク①ITH期間終了している企業で、特に5%の総所得課税の算出時にロイヤリティを控除していれば、控除されるべきでないと指摘され、追徴課税のリスクがある。
リスク②ロイヤリティに対するファイナル源泉税が未納付と指摘される場合がある。
リスク③技術サービス契約が、技術/ノウハウの移転として判断された場合で、かつその費用に対して企業が租税条約を適用していた場合(つまりファイナル源泉税0%)、ロイヤリティに対する租税条約適用後の税率は異なる(10%)ため、その差額について追徴課税のリスクがある。

4. 技術サービス契約(親会社から出張して行った技術支援等) ×
a. 技術/ノウハウの移転だとして、それに対する費用がロイヤリティであると判断された場合→上記3と同様のリスクが発生
b. グループ会社から従業員がフィリピン拠点に出張に来て技術支援を行ったのに、フィリピン拠点から対価が払われていない場合→技術サービス契約に対するファイナル源泉税が未納付と指摘される恐れがある。(租税条約を適用すると0%)
5. 貸付契約(ローン)や債務保証
a. グループ会社からの貸付に対する利子が0%
b. 第三者(銀行等)に対して親会社が債務保証を行っているにも関わらずその対価が支払われていない↓

リスク①本来フィリピン現地法人で利益(総所得)がもっと上がっているものとみられる特にITH期間が終了している企業や法人税免除のない物流業には追徴課税のリスクが。
リスク②利子に対するファイナル源泉税が支払われていないものとして、追徴課税を求められる恐れがある

また、PEZA企業とNon-PEZA企業の2社(またはそれ以上の複数社)をフィリピンに設立していらっしゃる企業様は、そのような国内のグループ間内のお取引においても今回の関連者間取引として申告対象・税務調査対応となることをご注意ください。

インセンティブを受けることのできるPEZA企業側に利益を移転していると指摘された場合には、追徴課税のリスクもございます。

 

これらのリスクがある取引内容は、Form1709を通して内国歳入庁(BIR)へ申告されることになります。
BIRからはリスクが大きそうな会社から税務調査に入るでしょう。

その対象はPEZA、Non-PEZAを問いません。これらのリスクから身を守るのが移転価格文書です。
まずは、貴社内のお取引においてどれだけリスクがあるのか、お気軽にご相談ください。

 

弊社ではPEZAやその他の優遇税制対象企業の設立のご相談から、税制改革後のビジネスモデルに関するご相談、そして喫緊で必要となる移転価格税制に関するご相談等、包括的にご相談対応させていただいております。
まずはお気軽にご連絡くださいませ。


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東京コンサルティングファーム・マニラ拠点
早川 桃代

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