フィリピンにおける駐在員事務所設立について

法務

駐在員事務所は、現地法人や支店と異なり、その活動内容は、極めて限定されています。主な活動内容は、下記の通りです。
・ 本店との連絡業務
・ 市場調査の実施
・ 現地の情報収集
・ 製品の品質管理業務

駐在員事務所が主体となった売買契約の締結、顧客への販売活動は認められておらず、フィリピンにおいて売上をあげることはできませ ん。
しかし、駐在員事務所は採用した従業員との雇用契約、事務所や住居の賃借契約、㆑ンタカー会社との契約等、その活動に必要な契約の締結は認められており、経費を計上することはできます。
これら発生する経費の支払については、事務所の運転資金から支払うことになります。駐在員事務所の設立申請に際しては、最低3万USドルを運転資金として、フィリピン国外から送金する必要があります。

駐在員事務所設立の申請先は、証券取引委員会(SEC)となります。申請に必要な書類は以下の通りです。

上記の申請書類に加えて、登録手数料をSECに支払う必要があります。登録手数料は、最低額が3万USドルの事務所設立準備金の初 期送金額の0.1%または、1,000ペソのいずれか大きい方となります。 更には、登録手数料の1%に相当する金額を調査手数料として、納付する必要があります。

駐在員事務所についても、現地法人や支店のように設立後の手続が必要になります。
・ 監査済財務諸表をSEC 登録番号の末尾の数字によって定められた日までにSECに提出(詳しい日付についてはSEC登録書の裏面をご参照ください)
・ 期末後105日以内に、監査済財務諸表とともにBIRへ法人税を納付
・ SEC登録日から毎年30日以内に、年次報告書(General Information Sheet)をSECに提出
・ 毎年1月20日までに地方自治体に地方税証明書(Community Tax Certificate)、バ ランガイ・クリアランス、営業許可証を更新
・ 毎年1月31日までにBIRにRegistration Fee(BIR from 0605) の支払い

撤退時にペソから外貨への多額の両替が必要な場合には、運転資金の送金から1年以内に中央銀行への登録が必要になります。
この点、中央銀行の規則によると、居住法人の場合には中央銀行への登録がない場合でも100万USドルまでの外貨の購入が可能ということになっています。しかし、この外貨購入の上限金額は銀行の規則によって制限されているのが現状なので、中央銀行への登録をしておくことをお勧めします。

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