駐在員の日本での住民票に関して

法務

こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Cebu Branchの近石 侑基です。

 

海外赴任前に準備しておくことの一つに、日本での住民票をどうするか(住民票を抜いた方が良いのか、抜かない方が良いのか)を考える必要があります。このブログでは住民票を抜いた場合の、日本での住民税や個人所得税確定申告に関する各種懸念点に関してご説明いたします。

 

■海外転居届

海外転居届を居住地の市区町村に提出して頂くことで、地方税である住民税に対する納税は無くなります。ただし、住民税は1月1日時点での居住地で、昨年の所得に対して課税されます。そのため、2018年内に海外への転居届を出された場合は、2018年度の所得に応じた住民税から納付対象外となります。

 転居届の手続きについては、居住地の市区町村により異なりますが、基本的には下記の通りとなっております。

・対象者:原則として1年以上の予定で海外に赴任する方
・届出先:現住所の市区町村の住民登録窓口
・持参物:パスポート、海外出向辞令書

■個人の確定申告
 フィリピンに駐在される方は、日本とフィリピンの両国で給与が発生している方がほとんどでしょう。

 その場合は、お金に関わるトラブル、現地スタッフとの軋轢を避けるために、現地スタッフに対してフィリピンの給与額のみ開示し、年度末に現地スタッフを関与させない申告・納税を行うケースが多いです。

■国内・国外の給料と税金
 原則として日本において勤務が行われていない場合、日本で課税されることはございません。ただし、日本側の法人で役員を務められている場合、日本の会社から役員報酬を得るのが通常です。この場合、仮に日本で非居住者であり、更に日本国内での勤務が無い場合でも日本側で課税されることとなります。

■その他懸念点
 転居届の提出に伴う懸念点は下記の通りとなります。

1. 国民年金への加入が強制加入義務から任意加入へ
2. 国民健康保険の加入不可
3. 市区町村での印鑑証明書の取得不可
4. 市区町村での選挙権無し

 ただし、会社員の場合は原則として会社で厚生年金へ加入しているので、海外赴任の場合も継続加入されるケースが多く、2.に伴う実務上の影響はございません。

 3.の印鑑証明書につきましては、海外赴任中は実印と印鑑証明書が使用できません。印鑑証明が必要な書類がある場合は、在外公館の領事官の前で署名を行い、それに「署名証明」を貰うことで、印鑑証明書と同様の効果が認められます。

 4.の選挙権につきましては、居住地の在外公館で在外選挙人名簿に登録して頂くことで、在外選挙が可能となります。

 

 最終的には、住民票を抜くかどうかは個人もしくは会社の判断によりますが、どちらにおいても、海外に1年以上在住される方は、住民票を抜くことが推奨されております。

 

 

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

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近石 侑基

 

 

 

 

 

 

 

 

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