フィリピンでの支店設立イロハ③設立時の注意点

法務

 

いつもお世話になっております。東京コンサルティングファーム、マニラ支店の早川です。前回の記事に続き、フィリピンでの支店設立についてお伝えしてまいります。
前回の記事では支店設立手続きの概要をお伝えして参りましたが、今回はその詳細として、支店設立手順で注意すべきことをお伝えします。注意点はずばり、登記完了までの金銭の流れでございます。

 

法人の場合、SEC登録の際に現地口座を開設し、そこに資本金を送金するだけで、その着金を確認されることは設立手続き上なく、また、そこから取引を始めるタイミングも基本的に自由です。
ただし支店の場合は比較的複雑な流れとなります。

 

(1)支店名登録
まずは支店名の登録を行います。ここまでは法人と同じです。

 

(2)仮口座(TITF口座)の開設と運転資金の送金
「TITF口座」と呼ばれる、運転資金送金用の銀行口座を開設する必要がございます。SEC登録を完了させるには、速やかに送金を行い、送金証明書を銀行から発行していただく必要がございます。
※このTITF口座は、設立時の運転資金送金のためだけの物であり、それ以外の取引は基本的にできません。本口座開設後であれば、TITF口座から、あるいは日本の本店の口座から本口座へ運転資金を送金することはできます。

 

(3)保証証券(Surety Bond)購入とSEC登録
親会社の財務諸表の負債資本比率が3:1を超える場合は、通常100万ペソ分、一時的に「保証証券(Surety Bond)」を、Surety Bond発行会社より発行していただく必要がございます。会社としての支払い能力を確認する目的で、SEC登録の際に求められます(SECのCitizen Charterにて規定)。
※こちら、支店閉鎖する際に返還の申請を行うことが出来ます。

 

(4)預託金証書(Security Bond)購入と本口座開設
本口座の開設のために、(3)のSEC登録と、預託金証書/短期国債(Security Deposit/Security Bond/Treasury Bills)購入のための支払いが必要になります。上記と同じく、支払い能力を確認する目的で必要とされます。
設立時は通常、10万ペソの預託金の支払いが必要となります。
※通常一年置き(決算月から半年後)に証書を更新が必要する必要があり、更新の際にはSECより支店の売り上げ規模(主に500万ペソベース)を基準に、時価評価によって変動する可能性があります。
※こちらも、支店閉鎖する際に返還の申請を行うことが出来ます。
※運転資金の送金後、本口座を開設する必要もございます。TITF口座を開設できる銀行は限られており、基本的に地場銀行となります。日系企業様の場合ですと、日本でお付き合いのある日系銀行で本口座を開設することがほとんどのため、地場銀行でTITF口座を開き、別銀行で本口座を開設する、というのが通例です。TITF口座を開設した銀行で本口座を開くことも可能です。

 

(5)中央銀行(BSP)登録
こちらを、運転資金の送金から1年以内に登録しておくと、将来出た利益で外貨を購入し、その外貨で本店に利益還流することが出来ます。

 

これらの金銭の流れは近年新しく決められました。このような手順を知らず、「想像以上に費用や時間がかかった」ということのないよう、弊社からサポートさせていただきますので、小さなご質問やご相談など、お気兼ねなくお問合せください。

 

 

東京コンサルティングファーム・マニラ拠点
早川 桃代

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