皆さん、こんにちは。
フィリピン・マニラの近石です。
今週のブログでは、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を切り口として、フィリピンについて見ていくことに致します。
スイス金融大手のクレディ・スイスは、フィリピンにおけるコールセンターなど企業の業務を代行するBPO分野の不振によりGDPを0.2~0.3ポイント押し下げるとの見解を示しました。
このように、一国の経済環境へ影響を与え、その浮き沈みが他国の関心を集めるまでの規模になるほど、フィリピンにおけるBPO産業は世界規模で関心が集まる産業になっています。
BPO分野はこの10年間、フィリピン経済の柱となり景気を支えてきました。外国企業にとってはフィリピンでの労働コストの低さに加え、国民の英語運用能力が高いという点でBPOに適した投資先であり、Tholonsによる2017年の世界の有望なアウトソーシング都市ランキングでは、マニラ4位(2016年時点では2位)、セブ12位(2016年時点では8位)とそれぞれランクダウンしてはいるものの、インドなどのアウトソーシング都市と肩を並べる国として有望視されている。
BPO産業には、以下の7つの主要分野があります。
① コールセンターなどのボイスサービス分野
② 金融・会計のノンボイス分野
③ IT業務受託分野
④ 医療記録のデータ化など医療情報管理分野
⑤ アニメ・コンピューターグラフィックスをはじめとするクリエイティブ分野
⑥ ゲーム開発分野
⑦ エンジニアリングサービス分野
この中でもフィリピンの強みは、コールセンターなどのボイスサービス分野である。これは英語運用能力の高いフィリピン人の強みを活かして、多くの欧米企業からコールセンター業務を行っています。
ただ、コールセンターのようなBPO事業は製造業に比べ雇用創出の機会が少なく、また、雇用対象者も高等教育修了者に限られてしまうため、フィリピンの雇用機会不足を解消するには、現在フィリピン経済の柱となっているBPO事業にのみ依存する社会から、中等教育修了者でも多数雇用できる製造業などにも目を向けて、今後の政策を進める責任がフィリピン政府には期待されます。
今週もどうぞよろしくお願い致します。
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フィリピン国 マニラ駐在員
近石 侑基
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