「小売業自由化法案」②

投資環境・経済

皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファーム・フィリピン支店の吉岡です。

さて、「小売業自由化法案」についてです。

前稿では、「小売業自由化法案」についての背景について述べました。
以下は具体的な内容になります。

2.注目すべき点

過去には、フィリピンの小売業界に外資系企業が自己資本100%で参入するには以下の要件がありました。

A.  払込資本金額(Paid-up Capital)を250万USD以上

B.  外資系企業が実店舗を運営するにあたり、1店舗あたりの投資額を1,000万PHP以上

C. 外資系企業はフィリピンから撤退する場合を除き、払込資本金額を最低でも5,000万PHP以上を担保(遵守なされない場合、罰則あり。)

D. フィリピンに進出される外資系企業は5年以上の経営実績と、Franchise(ここでは、親会社または本店の商標権などを使用している子会社またはグループ加盟店のことと定義する。)を5件以上の展開

本案では、以下のような要件へと変更されています。

A’.  払込資本金額(Paid-up Capital)が2500PHP以上

B’. 進出する外資系企業の本国がフィリピンの小売業者の参入を禁止していないこと

例えば、Z会社(日系企業)がフィリピンに進出するにあたり、そのZ会社の本国である日本国がフィリピン籍の小売業者の参入を禁じていないかどうかが焦点となる。

・日本国がフィリピン籍の小売業者の参入を禁じている場合

=>フィリピンへの自社の小売業の進出は不可。

・日本国がフィリピン籍の小売業者の参入を禁じていない場合

=>フィリピンへの自社の小売業の進出は可能。

C’. 外資系企業が実店舗を運営するにあたり、1店舗あたりの投資額を1,000PHP以上の要件撤廃

D’. 最低払込資本金額(Paid-up Capital2500PHP以上を担保(遵守なされない場合、罰則あり。)

E’. 外資系企業は最低払込資本金額(2500PHP)の所在を証明するため、フィリピン中央銀行(Banko Sentral ng Philipinas)に払込資本金額を登録義務あり

その他にも、外資系企業の登録先であるSEC(Securities and Exchange Commission)とDTI(the Department of Trade and Industry)、NEDA(the National Economic and Development Authority)は、3年おきに自身が管轄している外資企業の払込資本金額の調査と行い、それを国会(Congress)に報告するように定められています。

また、上記の3機関はこの本案が大統領によって署名された日の90日以内に、小売業に関する法令を改訂するように記載されました。

罰則に関して外資系企業が上記述べた要件に対し、違反が見受けられた場合、

約4年から6年の投獄、及び100万から500万PHPの罰金、

そして企業の構成員である取締役などをはじめとするExecutive(経営層)に責任追及があることが明記されています。

以上となります。

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