ミンガラーバー
ミャンマー拠点の西野由花です。
ミャンマーで進出を検討されている方からよく聞く疑問の一つに、「ミャンマーには社会保障制度はありますか?」というものがあります。
結論から言うと、「あります!けれど、発展途上です!」というのが答えです。
では、ミャンマーにおける社会保障とはどのようなものなのでしょうか、そして、発展途上という理由とは、
今回は、ミャンマーの社会保障制度についてお話しします。
■適用範囲
ミャンマーの社会保障制度には、1956年に施行された社会保障法(The Social Security Act 1954)と1923年に制定された労働災害補償法(Workmen’s Compensation Act)がありました。その後、2011年に民主化をしたミャンマーは2012年に社会保障法(The Social Security Law,2012)が制定されたとこで失業保険などこれまで含まれていなかった制度が追加され、新たな社会保障制度が始まりました。
社会保障法は、社会保険庁(Social Security Board)が社会保障計画(Social Security Scheme)に従い、被保険者の疾病、妊娠、就業中の障害、死亡などによって経済的、社会的な困難に直面した労働者を保護する目的で補助金や医療などの補償をしています。日本における雇用保険や年金制度にかかる社会保障制度も今後導入していく旨の発表がありますが、2020年1月現在もまだ施行はされていません。
【社会保障の内容と負担割合】
保障 | 負担割合 | 施行済 |
医療保険 | 使用者2%、労働者2% | 〇 |
労災保険 | 使用者1% | 〇 |
障害給付・年金・遺族年金 | 使用者3%、労働者3% | |
失業給付金基金 | 使用者1%、労働者1% | |
住宅基金 | 労働者25%以上 |
社会保障法は外国人も含む5人以上の労働者を雇用する事業所に対して適用されます。加入対象となる労働者は、常勤労働者だけでなく、臨時労働者、無給の見習い労働者及び訓練生も含まれます。保険給付は医療保険と労災保険からなっています。
医療保険では疾病、妊娠、死亡に関する補償が行われ、労災保険では業務上の障害、職業病に関する補償が行われます。日本の健康保険と労災保険の両方の役割を担っています。
社会保障法の対象外となる労働者は労働者補償法の対象となります。労働者補償法は業務上の負傷によって、一時的、恒久的な障害を受け、あるいは死亡した場合に補償金が支払われます。つまり、社会保障法の対象外になる労働者は、業務上の災害にかかる給付のみ受けることができます。
上記社会保障法によって病気となった際も、保険を使い意思の診察を受けることができます。
しかしながら保険適用の対象となる病院は政府系の施設に限定されており、自由に病院を選ぶことができません。
そのため、ミャンマー人従業員の中には保険に入らなくても良いです。という方もいます。ですが従業員が5人以上いる場合は社会保険制度への加入が義務となっていますので、しっかりと社会保険庁への届け出をするようにお願いいたします。
一方、従業員が5名以下の企業の場合、社会保険の加入は任意で可能とはいわれていますが、実務上は加入の申請を受け付けてもらえないといった事態も発生しています。
いかがでしたでしょうか。
ミャンマーでは社会保険制度の発展を目指していますが、いまだ開始されていない保障がある、希望しても制度に加入できない企業があるなどまだ発展途上といった様子です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)
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