皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週はメキシコの月次税務申告納付について記載します。
質問)
メキシコでは毎月税金の申告納付が必要であり、記帳代行を行っている会計事務所から納付書が毎月届きます。今まで受取った納付書に従って税金を払ってきましたが、月によって、支払う金額にバラツキがありますが、メキシコでは一般的なのでしょうか。
そもそも、どのように税金の金額は計算されているのでしょうか。
回答)
一言で「税金」といっても大きく分けるとメキシコ連邦税は大きく分ければ2つです。
①ISR(所得税)・・・法人ISRと個人ISR有
②IVA(付加価値税)
実際のLinea de Capturaを用いて説明します。
①ISR(所得税)
1)法人所得税(法人ISR)【ISR PERSONAS MORALES】
こちら法人所得税の月次予定納税となります。
売上とその他収入に一定の%*を掛けて求めております。
*%は前年のISR申告額によって決定します。
月次での予定納税ですので、1年間の確定額が算出された場合、
それまで納めていた額を差引いて、
不足があれば追加納付、超過払であれば還付や次回以降の納付にまわすことが可能です。
例1)毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,300MXN
年間確定ISR: 1,300MXN
予定納税合計:▲1,200MXN
確定申告時納付: 100MXN
例2) 毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,000MXN
年間確定ISR: 1,000MXN
予定納税合計:▲1,200MXN
還付or 200MXN
次回に補填
2)個人所得税(個人ISR)【ISR RETENCIONES POR SALARIOS】
個人給与から源泉徴収しているものです。
日本と同じようにメキシコでも、社員へ給与として支給している場合、
対象者の個人所得税に関しては、毎月会社が源泉徴収して国に治めなければなりません。
月次での源泉徴収及び納付はあくまでも予定納税であるため、
一定の所得水準を超えていたり、2か所以上からの所得があるなどの場合は
年度末の確定申告を行う必要があります。
②IVA(付加価値税)
1)仮受IVA及び仮払IVA【IMPUESTO AL VALOR AGREGADO】
メキシコのIVAは毎月、税務当局に申告納付する必要があります。
IVAの納付税額は商品の販売やサービスの提供について、
課税標準額に16%の税率を乗じて算出され、特定の課税期間(1ヶ月)の受取IVAは、
基本的には同じ課税期間の支払IVAと相殺・控除されなければなりません。
1ヶ月間の受取IVAの累計額が、同じ期間の支払IVAの累計額を上回った場合(Impuesto a cargo)、
納税者は、その超過分の差額を翌月17日までにSAT(国税庁)へ納税する義務があります。
※添付、4月のLinea de Captura
一方、1ヶ月間の支払IVAが受取IVAを上回った場合(Impuesto a favor)、
超過した支払IVAの処理としては以下の3つの方法があります。
※添付、5月のLinea de Captura
㋐還付 (Devolución)
㋑未払ISRとの相殺 (Compensación)
㋒翌月以降の超過受取IVAとの相殺 (Acreditamiento)
※8月分や9月分の納付額が極端に少ないのは、
過去の超過した支払IVAを㋑の処理で相殺しているためです。
2) 源泉IVA【IVA RETENCIONES】
特定サービスの対価(公証人への支払等)を支払う際に、
IVAを源泉して、納税をしなければならないものがあります。
※源泉IVAは上記㋒の処理を行うことができません。