法人所得税の予定納税について

税務

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコでの法人所得税の予定納税について記載します。

質問)

メキシコでは、企業が前年度に課税所得が生じた場合、翌年からは月次で所得税を仮納付しなければいけないと聞きましたが、どのようにこの金額は計算されるのでしょうか。

回答)

 所得税は課税期間(メキシコの場合は1-12月)で区切り最終的な税額が計算されることとなりますが、前年度に法人としての課税所得が生じた場合、翌年度から月次での法人所得税の予定納付が必要となります。

月次での予定納税額の計算は簡易的に行われ、前年度の課税収入額に対する課税所得額の割合を係数として用います。

例えば、2017年度の確定値が以下とした場合、2018年1月から係数20%を用いて月次での法人所得税の予定納付が必要となります。

【2017年度確定値】

課税収入総額:1,000

損金算入総額:▲800

課税所得額 : 200(課税収入総額に対する課税所得割合:20%)

法人税率  :×30%

確定法人税額: 60

【2018年1月】

課税収入額: 100・・・売上額、為替差益等

係数   : ×20%

課税所得額:  20

法人税率 : ×30%

仮法人税額: 6

法人所得税の申告期限は翌年3月末日ですので、上記のような係数が1月分の月次税務申告時には求められていないこともあり得ます。この場合は、法人所得税が確定した段階で、過去分も含めて予定納税を行うこととなります。つまり、3月に法人所得税が確定した場合、3月分の月次税務申告の際に、過去分(1-2月)も含め、3か月分を予定納税することとなります。

もちろん、月次での納付額はあくまでも予定額ですので、1年間(課税期間)で確定額が算出された場合、それまで納めていた額を差引いて、不足があれば追加納付、超過払であれば還付や次回以降の納付にまわすことが可能です。

例1)毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,300MXN

年間確定ISR: 1,300MXN

予定納税合計:▲1,200MXN

確定申告時納付: 100MXN

例2) 毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,000MXN

年間確定ISR: 1,000MXN

予定納税合計:▲1,200MXN

還付or      200MXN

次回に補填

最後に、この法人所得税の予定納税は一度開始されると継続して実施しなければならないということにも触れておきます。

例えば、2017年度に課税所得が生じると2018年度から月次での予定納税が開始されるなるのは前述のとおりですが、2018年度の確定申告によって同年度が損失超過であったとしても、2019年度の法人所得税の月次予定納税はなくなりません。

2017年度の係数を基に月次での予定納税は実施しなければならないので

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