【コラム】マレーシアにおける社会保障制度~通勤中の災害は労災保険の対象になるのでしょうか?~

労務

 

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
東京コンサルティングファームの佐々木で御座います。

 

本日はSOCSO関するコラム記事となります!

ところで、皆様は「通勤災害」という言葉をご存知ですか?
本日のテーマは「通勤災害はSOCSOの適用範囲内なのか否か?」となります。

Q.通勤災害は労災の一部でございますが、一般的な労働災害(業務中の災害)とは区別され、治療費はSOCSOの労災保険ではなく、通常の医療保険から支払われるのでしょうか。

A.原則はSOCSOの適用範囲内でございますので、医療保険ではなく、労災保険の給付を受けることになります。

 

【詳細】
SOCSOは本ブログで度々登場しておりますが、日本で言えば労災保険の位置となります。

そのため、労災保険が適用されるためには労働災害として認定される必要がございます。

そこで、問題となるのは、「通勤災害に関する保険給付」でございます。

通勤途中の災害にあった場合は、労災保険の適用を受けるのか、それとも、健康保険の給付を受けるのかが問題となります。

 

【日本での一般的な解釈】
その移動が業務のためであれば通勤に該当し、労災保険の給付を受けることができますが、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれるなどの行為をしますと、通勤に該当しないこととなります。

マレーシアにおきましても、通勤を中断または行為の逸脱があった場合には、通勤中に発生したとは見なされませんが、基本的には通勤途中の災害にあった場合につきましては、
労災保険(SOCSO)の給付を受けることが可能でございます。

 

【通勤災害とみなされるもの】

①従業員の居住地または滞在地とその職場との経路上で起きた災害
②就業員の就業に直接関連する何らかの理由で作られた移動中の災害
③休憩中に職場と食事を取った場所の間の移動に係る災害

・労災保険の保険料
1.日本
事業者の全額負担

2.マレーシア(再掲になります)
・60歳以下のマレーシア人につきまして

①給与(※)がRM2,900以上RM3,000以下の場合
使用者:RM51.65/従業員:RM14.75

②給与(※)がRM4,000以上の場合
使用者:RM69.05/従業員:RM19.75
※ここでの給与は基本給+残業代のことを指します。

一方で、外国人労働者に関しましては、負担割合が異なります。

 

・外国人労働者の場合
60歳以上のマレーシア人被雇用者および外国人労働者は第2カテゴリーに分類され、
雇用者のみが保険料を負担することになっております。
負担率:1.25%
※月給4,000リンギを超える被雇用者の場合
49.40リンギが拠出上限となります。
※外国人駐在員の場合
雇用パスの取得に係る条件が月給RM5,000以上のため、必然的に拠出額は上限のRM49.40リンギとなります。

 

以上となります。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。
弊社では法務関連を各種サポートもさせて頂いております。
上記のような例に限らず、ご不明な点やご相談がございましたら、
いつでもお問い合わせ頂ければと存じます。
どうぞ引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

東京コンサルティングファーム
佐々木 海翔

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