皆様、こんにちは
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。
本日はインド株主総会の決議要件と挙手制・投票制についてみていきます。
インドにおいて、株主総会の普通決議は出席株主の過半数の賛成、特別決議は出席株主の3/4以上の賛成が要件となります。
また、普通決議と特別決議で主に決議される内容は、以下の通りです。
【普通決議】
- 年次決算の承認
- 配当の承認
- 監査人の選任
- 取締役の選任・解任
【特別決議】
- 定款の変更
- 第三者割当増資の実施
- 減資の実施
- 会社の清算
日本の会社法の場合、すべて議決権数に応じて決議が行われますが、インドの会社法では、原則として、人数ベースによる挙手(Showing Hands)が決議要件となります。
しかし、議決権ベースによる投票制(Poll)も認められており、合弁会社でマジョリティーを有する場合などは、この投票制を採用するのが望ましいと言えます。
挙手制(Showing Hands)
挙手による決議を会社が採用すると、保有する株式数は考慮には入らず、取締役会同様、1 人1 票とカウントされることになります。
100% 子会社などの場合(会社法上最低株主数は2 名であるため、実質的に100%である場合)は決議に対しての立場の相違などは起こりにくいため、特に問題にはなりませんが、インド資本を組み込んでいるJV などの場合は、各株主保有する株式数が決議に正確に反映されないため、注意が必要です。
投票制(Poll)
挙手による決議が適当でないと以下の者に判断された場合、株主は挙手による決議の前後にかかわらず、投票制による決議を総会に要求することができます。
- 総議決権の10% 以上の議決権を保有する株主
- 50 万ルピー以上に相当する払込資本を有する株主
インド資本との合弁会社を設立する場合、ないしは独資で設立した後にインド資本の参画を期待する場合などは、設立当初から当該会社の附属定款(AOA)に、決議方法は投票制のみで行う旨を記述するなどの対策を、あらかじめ講じておくのが望ましいと考えられます。
また、普通決議や特別決議は、100%子会社の場合は自由に決議することが可能ですが、合弁会社の場合は所有する株式の割合によって、合弁会社に対する支配力は変わってくるため、注意が必要です。
自社(例えば、日本本社)が実際に保有する株式の割合と株主総会における決議(普通決議・特別決議)に必要な持株の割合の関係に応じて、比較しますと下記のようになります。
- 持株比率が25%以下の場合
普通決議・特別決議の阻止ができないため、純粋な投資という側面が強くなります。 - 持株比率が26%~49%の場合
特別決議における拒否権を持つことができます。しかしながら、普通決議においては自社の影響力を行使できないことになります。 - 持株比率が50%の場合
合弁パートナーとの合意なしでは普通決議も特別決議もできません。従って、両社の折り合いがつかなくなった場合の想定を事前に行う事が重要になります。 - 持株比率が51%~74%の場合
普通決議で決議できる事項については、自社のみで決議できることになります。 - 持株比率が75%以上の場合
普通決議も特別決議も自社だけでできることになります。
上記が持ち株比率に応じた合弁会社への影響力の簡単な比較になります。
最後に株主総会の定足数は、非公開会社の場合は原則2名となっております(定款で別途定めがない場合)。
従って、仮に合弁会社の株主が2名の場合は、その株主2名の出席が株主総会を開催するための必須条件になります。
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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔
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