利益の見える化について②

会計

インド・グルガオン駐在員の豊田です。

 

前回に引き続き、利益の見える化ついてお話ししたいと思います。

 

 海外現地法人の利益の見える化を達成するために、世界中の経営者・会計士・IT専門家・大学教授等々が新しいツールを次々と開発しています。ツールはあくまでもツールですので、企業の状況によって、適切なツールを取捨選択し、事業戦略に資するものでなければなりません。

 今回は、利益の見える化を達成させるツールとして、ROA(Return On Asset)経営をご紹介したいと思います。

 

事業活動を遂行する際に、企業のビジョンに沿った事業戦略を設定し、マネジメントサイクルを回していくことの重要性は前回お話しした通りですが、アクションプランを検証し、新しい戦略を設定していく際に忘れてはいけない重要な視点があります。つまりそれは、原因と結果とを正しく導き出すことです。

 

事業活動(原因)とそれによって獲得された利益(結果)との間には関係性を見出すことが出来ます。しかしながら、海外子会社においては、日本親会社との関係性や管理部門の専門家が不在であることをきっかけとして、これらの関係性が見えづらくなってしまっています。

正しい結果を導くためには正しい原因を作ることが必要です。その為には、この因果関係を正しく把握することに努めなければなりません。ですので、事業活動とそれによって獲得された利益との関係性を把握し、次のアクションプランを正しく設定することは非常に重要となります。

 

これらの課題を解決するための手法としてROA経営をご紹介します。

 

まず、ROAとは、総資本経常利益率のことを言います。事業活動に投じた総資本からどのくらいの利益を獲得できたか、つまり、事業活動の収益性を表す指標です。このROAは売上高を触媒として、各事業部や活動内容にまでブレークダウンすることで、事業活動から獲得した利益の発生源泉を分析するのに有効な指標です。

つまり、ROA経営とは、ROAを用いて事業活動を分析し、事業活動の因果関係を明らかにし、次のアクションプランを正しく設定し、経営活動を行っていこうとするマネジメント手法です。

 

 ROAは売上高経常利益率と総資本回転率という2つの経営指標に分解できます。売上高経常利益率とは売上高からどれだけの経常利益を発生させることが出来ているのかという、事業活動の収益性を表す指標です。また、総資本回転率とは、事業活動に投じた総資本からどれだけの売上高を獲得できたかという、事業活動の生産性を表す指標です。

このようにROAを分解しこれらを一定期間に区切ってその推移をみることで、一定期間の事業活動から獲得した利益は収益性が原因で発生したのか、生産性が原因で発生したのかということを分析することができます。

 

同様に、売上高経常利益率や総資本回転率もそれぞれの構成要素毎に分解していくことができます。つまり、売上高、売上原価、販管費、金融収支、債権回転率、棚卸資産回転率、固定資産回転率などの構成要素に分解することができます。そして、分解された構成要素毎に結果の善し悪しを分析し、日次の事業活動の内改善すべき原因にまで辿りつき、その対応策を検討できるようになります。

 

従って、ROAを今後改善させようと考える場合、下の図にある『ROAの展開図』の発想に基づき、その原因たる我々の日々の業務活動において、何をどのように改善していくべきであるのかを設定し、共有することが可能となります。

 

このようにROAを用いて事業活動を分析し、事業活動の成果についてその原因を正しく把握し、次のアクションプランを設定し、企業の成長へと結びつけるマネジメント手法をROA経営といいます。

 

上記について、もっと詳しく知りたい!というかたは是非当社までお問い合わせ下さい!

 

 

Tokyo Consulting Firm

グルガオン駐在員

豊田 英孝

関連記事

ページ上部へ戻る