本社人事制度をインドに当てはめる⑥

労務

 こんにちは。Gurgaon事務所の仁井いずみ(ニイ)です。今回は職務分掌について触れていきます。

 前回は職務記述書を活用して業務と責任範囲を見える化し、それをベースに生産性をチェックするということについて書かせていただきました。今回の職務分掌はそこから発展し「社員としてのあるべき実績と行動」を明確にすることを目的としています。

職務分掌
 職務分掌ではあるべき社員像を明確にする意味がありますので、職務態度や理想の行動などを明記します。成績が良いだけではなく職務態度や他人へ良い影響を与えることが評価につながると認識させます。職務分掌の項目と評価シートの項目は一致していることが重要です。職務分掌であるべき社員像を明確にしそれに対しての達成度を測るのが評価制度だからです。

インドに当てはめるポイント

 日本本社にも職務分掌がある場合が多くありますが、インド人社員へ理解させることを考えた場合、単に本社にあるものを英訳して導入しても効果は薄いといえます。以下の点に注意して作成するのが良いと思われます。

  1. 役職ごとの責任範囲が明確になるようにする
     前回ふれたようにインドでは役職者が業務をしてしまい、チェック機能が働いていない場合があります。また目標を定め戦略を立て実行することが苦手な人も多くいます。下のポジションの社員は業務を正確に早く行うこと、シニアポジションは部下を指導し業務内容をチェックすること、マネージャーポジションは業務全体の生産性が上がるよう管理し次の目標を立て戦略を練ること、というように大まかな役割を定め、職務分掌のそれぞれの項目に当てはめていきます。
  2. わかりやすい表現を使うこと
    インド人社員に自分の役割をしっかり理解させるためには、抽象的な言葉を使わず、なるべくわかりやすい言葉に噛み砕く必要があります。インド人と日本人では仕事に対する考え方が根本的に異なる場合があります。またインド人は素直な性格を持っているため会社の方針をはっきり示せばそれを理解しようとします。 

    根本的考え方が違う例として、10分程度の遅刻は遅刻ではない、上司は部下をサポートするべきであり言われた指示には従うが自分から働きかけることはない、などがあります。このような考え方を打開するようなことを明記しておく必要があります。多くの駐在員の方から聞くことは、「インド人社員教育は子供に躾を教えているようなものだ」という意見です。まさにその感覚の通りだと思います。インドの職務分掌は日本の内容と比べてだいぶ易しい表現が多くなると思います。

 完成した職務分掌を活用する方法も考える必要があります。職務分掌の目的は社員に会社の求めることを理解させることにありますので、一つは評価時に参考資料として使うことが考えられます。もう一つはこれを教材として研修で活用することです。毎週末や毎日のミーティング時などでこの内容についてディスカッションさせるなど、日々理解させることが重要です。

 次回は評価制度について具体的に見ていきます。

以上

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