インドの産業構造の変化

[産業構造の変化] 産業別に実質GDP 成長率に対する寄与率を見ると、サービス業の割合が大幅に上昇し、2 0 0 0 年度以降の平均で約6 5% になっているのに対し、鉱工業は5 0 年代からほとんど変化がなく、近年も3 0%弱にとどまっています。これは、今日の経済成長の3 分の2 がサービス業によってもたらされていることを意味します。

サービス業が発展してきた背景には、製造業の生産過程でIT などのサービスの投入が増加したこと、技術革新により新たなサービスが登場してきたこと、国内外の消費者からのサービス需要が増加したこと、民営化、規制緩和、直接投資導入や貿易自由化などの経済改革が進展したことなどが挙げられます。中でもIT 産業の発展は目覚しく、サムスン、エリクソン、モトローラ、デル、ノキアほか多くのIT 関連企業が進出しており、インドは世界でも有数の研究開発拠点となっています。サービス業中心の経済成長を遂げるインドですが、産業構造を他の東アジア諸国と比較すると、中国、タイ、インドネシアなどにおいては製造業の比率が高く、1 9 9 0 年から2 0 1 6 年における製造業(第2 次産業)の産業全体に占めるシェアは、中国は41.0% から40.7%へと減少傾向ですが、インドでは2 7.0% から2 9.8% へと増加しています。

一方、1 9 9 0 年から2 0 1 6 年におけるサービス業(第3 次産業)の産業全体に占めるシェアは、中国では31% から50.7%、インドでは4 1% から4 5.4% と、ともに上昇しております。このように、近年、インド経済は製造業を中心に鉱工業の成長率が高まってきたとはいえ、基本的にはサービス業中心の産業構造であると言えます。

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