皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India) の田本です。
本日は、インドにおける州を超える住所変更手続きとGST仕入れ税額控除の関係についてお話を致します。
まず、登記住所変更手続きに関する基本情報についてご説明します。登記住所移転のご相談はお受けすることがありますが、基本的には市内、市を超える場合、州を超える場合の3パターンで手続きの煩雑さが異なります。
州によって細かな違いはあると言えますが、基本的には州内(市内や市を超える)の場合であれば、手続きはシンプルになるため、今回は説明を省略します。
問題になるのは、州を超えた登記住所移転手続きになります。インドは連邦国家のため、州をまたぐ手続きでは何かと問題が起きやすいと言えます。必要な手続き項目としては下記の通りです。
【変更手続き】
- 会社登記局(ROC)
- 輸出入業者コード(Importer & Exporter Code)
- プロビデントファンド(Provident Fund)
【旧登録の取消手続きと新規登録手続き】
- 物品・サービス税(GST)
- 店舗および施設法(Shops & Establishment Act)
- 職業税(Professional Tax)
その他にもいくつか小さな変更手続きがありますが、基本的に抑えるべき項目は上記になります。
また、会社の登記住所変更手続きに加えて、駐在員の方が各種登録のサイナーとして登録を検討される場合は、加えて下記項目についても変更・取得が必要になるケースもあります。
- 税務番号(PAN)
- 外国人登録(FRRO)
- アダールカード(Aadhaar Card)
このように、州を超える場合の登記住所変更手続きには様々な登録変更手続きが必要になります。そのため、時間も非常に要する手続きとなります。
上記の中でも、最も留意すべき項目が移転元住所のGST登録取消と移転先住所のGST新規登録手続きになります。
こちらは手続きとしては比較的にシンプルですが、移転元住所のGST登録番号上の仕入税額控除(Input Tax Credit-ITC)の残高が多く残ってしまうケースがあります。
GSTの仕入税額控除の基本的な考え方として、仕入額が売上額を上回る場合は、仕入税額控除の残高は増え続けるため、インド進出後黒字化していない段階の企業は要注意と言えます。
このGSTの仕入税額控除の残高を活用する解決策として、還付や移転等と言った方法が考えられますが、登記住所移転に伴う場合は基本的にはどちらも認められておらず、実務上はこの仕入税額控除の活用方法に頭を悩ませることになります。
解決策としては、登記住所移転前のGST番号を継続して使用し、売上を上げる形になります。
売上の立て方については、対顧客が理想的ですが、困難な場合は移転先住所のGST番号に対して企業内で売上を立てる方法も選択肢の一つになります。
こちらについてもどちらの場合も移転元住所のGST番号を使用する場合は、その住所におけるビジネスの実態が前提条件になるため、登記住所変更手続きを進める前の事前計画が必要になると言えます。
このような方法が考えられますが、いずれにしても通常とは異なる方法でのGST仕入税額控除の活用手段が必要になりますので、こういった部分についてはGSTコンサルタントに相談をしておくことが良いと考えられます。
また、GSTのルールは2016年に発表後、日々目まぐるしく変化しているため、情報のキャッチアップの重要性も高いと言えます。
有資格者であるインド勅許会計士であっても、これまでのキャリアの経験によって専門分野は異なるため、相談するコンサルタントの選定にも留意が必要と言えます。
今週は以上となります。弊社では登記住所移転手続きに関する実務上の留意点も踏まえたご相談をお受けする事が可能です。是非、お気軽にお問い合わせください。
Tokyo Consulting Firm Private Limited (India)ではインドビジネスについて、より詳しい情報を弊社の日本人コンサルタント、インド人勅許会計士・弁護士・会社秘書役がお答えします。
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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔
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