中国における販売流通体制

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

本日は中国における販売流通体制について、お話しします。マーケティングの4P「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」のうち、流通で失敗している日系企業が多くあります。以下、販売流通網で失敗している原因と日系企業がとるべき対策について、お話しします。

失敗している主な原因は、中国を一つのマーケットとして対応してしまったことです。中国は地域によって、経済発展規模・風習・言葉等が異なるため、地域に対応した対策が重要です。さらに、どれほどの人・物・企業が各都市にあるかを徹底調査する必要があるのです。例えば、多くの日系企業は、1、2級都市(1級都市:北京、上海、広州等、2級都市:天津、西安、南京等)のみに進出し、直販だけで対応しようとします。この販売方法は、日本では非常に有効でした。日本においては、ある程度大きい都市に多くの人・物・企業が集まり、大型の量販店等で購入する傾向があるからです。ところが、中国は日本とは異なります。中国においては、国土が広く経済格差も大きいことから、3、4級(3級都市:重慶、厦門、青島等、4級都市:保定、北海、フフホト等)の多くの小さな都市にも人・物・企業が集中します。そのため、小規模販売店で購入される傾向が日本より強いのです。

【消費財の小規模販売店を通じた売上割合2008年】

出所:Euromonitor AC Nielson Mckinsey

したがって、広大な中国全土のマーケットシェア率を上げようとした場合、直販だけで対応するのは、不可能だと言えるのです。実際、販売コストが増えている割には、売り上げが伸びない企業が多くあります。

では、どのような対策をすればよいのか。これは、直販とチャネル販売の融合が最適です。直販と販売チャネルをうまく融合させ、売り上げを拡大させた企業が多くあります。例えば、デルです。デルは中国に進出した当初、直販のみでしたが、途中で中国最大級家電販売店の国美電器とパートナーシップ契約を結び、販路拡大に努めました。さらにデル中国と国美電器が協力してパソコンを需要に合わせてカスタマイズするなど様々な試みを実施しました。その結果、当初の直販体制時は売り上げが頭打ちでしたが、2008年度の第一四半期の売り上げは前年度より約50%伸び、2009年には中国パソコンランキングで2位になりました。また、世界進出で成功しているユニチャーム。1990年に中国に進出する前は、まず多くの代理店・卸売店を訪問し、自社商品との相性・相手の販売能力等を徹底調査して、パートナー契約を結んでおります。

ネット販売網もうまく活用すべきです。中国におけるインターネットユーザーの内、1/3以上のユーザーがネット上で何らかを購入しているという調査結果(Pwc 2010年12月)もあり、ネット販売が今後も大きくなる可能性が高いです。B2C(企業から個人)における、ネット販売においては、中国現地法人がないと登録できないなどの縛りがあるネット販売サイト(タオバオ等)があります。ところが、銀聯モールを活用することで、中国現地法人がなくても日本でネット販売できるなど、ネット販売のハードルも下がってきておりますので、活用する価値はあると考えられます。

以上です。

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