外商投資企業の持分出資の解禁について

こんにちは、中国・上海の小林です。

今年9月21日に、中国商務部は「外商投資企業にかかる持分出資に関する暫定規定」(商務部令2012年第8号)が公布されました。今日はこの規定について簡単に解説したいと思います。

外国企業が中国の会社に他の会社の持分を現物出資して投資(新設・増資)を行うこと自体は以前より関連法もあり、可能とされていましたが、実務的な手続きや条件などが明確でないということもあり、実際は保有持分を一度売却した上で、そこからの利益の再投資を行うというケースが多くありました。ところが、利益の再投資は税務上、投資性公司(ホールディングカンパニー)であれば非課税とされていますが、そうでない会社にとっては再投資を行う際にみなし配当課税がなされ、あまり旨味のないスキームであったと言えます。

今回、改めて出資持分を現物出資する際の法規制が本規定により整備されたことで、中国国内での資本再編や事業拡大を考える企業にとっては多くのメリットを享受できることになります。

本規定では、持分出資を行う対象として、①外商投資企業の新設、②既存の内資企業の増資(外商投資企業に変更)、③既存の外商投資企業の増資、の3つを認めています。

一方で持分出資を行うための条件として、出資対象となる持分が帰属する企業の登録資本金が全額払い込まれていること、持分を移動させる際の制約(定款上持分の譲渡制限がある、持分に質権が設定されている等)がないこと、年度検査に合格していること、などがあります。
また、出資先の企業が内資企業から外商投資企業に変更になる場合は、出資先企業の事業内容が、「外商投資産業目録」などの外資規制に抵触するものではないことも必要です。

また、持分出資の流れですが、下記の通りとなっています。
外商投資企業A社が保有するB社の持分を、C社に出資するとします。

①評価機関による持分評価、A・C間での持分出資の合意、弁護士による意見書作成
②AまたはCが、Cの主管商務部門に持分出資の申請
③Bが外商投資企業である、またはBとCの設立時の批准機関が異なる場合、Cの主管商務部門はBの批准機関に問い合わせ、Bの持分が出資に適合しているかを審査
④審査合格後、Cに対し、外商投資企業批准証書(登録資本金未払込と記載)を発行
⑤Bの出資者の変更手続き(A⇒Cもしくは、A⇒A及びC)
⑥Cの批准証書の書き換え(登録資本金払込済と記載)

このように、手続きは煩雑かつ複雑で、また投資性公司や国有企業・上場企業にかかる持分出資になどついては、関連規定も含めて綿密に実行可能性を検討しなければなりませんので、実際に持分出資を行う際は、専門家のサポートを借りて進めていくのが通常です。
弊社でも、こうした行政手続きのサポートを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

以上です。

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