皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループカンボジア拠点の谷坂 映歩です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「カンボジア2021年投資法施行規則の採択―QIP②」についてお話していこうと思います。
目次
【カンボジア2021年投資法施行規則の採択―QIP②】
新規適格投資プロジェクト(Qualified Investment Projects: QIP)に適用される税制および関税優遇措置の範囲と適用は、2021年投資法およびSub-Decree 139の施行で期待されている特徴の1つです。 以下に、Sub-Decree 139でさらに明確化された2021年投資法におけるQIPの税制・関税優遇措置の概要を示しております:
基本的税制優遇措置
2021年投資法に基づいて登録されたQIPは、事業所得税(Tax on Income: TOI)免除期間または加速償却免除からなる基本的な税制優遇措置を受ける資格が与えられます。また、基本税制優遇措置の対象となるQIPには、輸出/国内QIPまたは支援QIPも含まれています。
*加速償却とは、耐用期間の初期に大きな割合で償却をする方法の事です。
(1)免税措置
QIPのTOI免税期間は、最初の活動関連収入を受領した年から始まります。
TOI免税期間の決定プロセスを簡素化するため、Sub-Decree 139では、QIPの投資活動を“ハイ・テクノロジー”、“ミディアム・テクノロジー”、“ロー・テクノロジー”、またはカンボジア王室政府(the Cambodian Royal Government: RGC)の定める優先セクターに該当するかにより、投資活動カテゴリーを以下のように定めています:
・カテゴリー①→ 9年間のTOI免除期間
・カテゴリー②→ 6年間のTOI免除期間
・カテゴリー③→ 3年間のTOI免除期間
また免税期間終了後は、カテゴリーに関係なく6年間にわたって軽減税率が適用されます:
・最初の2年間は税率5%
・次の2年間は10%
・最後の2年間は15%
※QIPには1%の前払法人税(Pre-payment of Tax on Income: PTOI)免除も、TOI免除と同期間の適用がなされます。また、QIPが外部監査済み財務諸表を毎年維持することを条件として、ミニマムタックスも免除となり、法律に別段の定めがない限り、輸出免税も適用されます。
(2) 加速減価償却
QIPはTOI免除期間の代わりに、QIPの活動に関連する資本支出について40%の減価償却率を選択することができます。このオプションを選択したQIPは、その投資活動カテゴリーに関連する期間、特定の費用について200%の損金算入率の恩恵を受けることができます。
特定の費用とは、Sub-Decree 139において以下のように定義されています:
・外国人従業員に代わるカンボジア人従業員の特定技能訓練に関する費用
・オンライン会計ソフトウェアプログラムに関する費用
・カンボジア人従業員が特定のスキルを学ぶための海外奨学金に関する費用
・新技術、Industry 4.0(A.I.、ロボット工学、ビッグデータ・ストレージを含む)の研究、研究開発、外国人専門家の雇用に関する費用
※加速減価償却オプションを選択したQIPは、所得免除税オプションに従い、ミニマム税、PTOI、輸出関税の免除も享受することができます。
関税優遇措置
基本税制優遇措置の選択に加えて、QIPの輸入関税/消費税は以下の通りRGCが負担することになります:
・建設資材、建設設備、生産ラインのための生産設備の輸入にかかる関税、特定の税金、付加価値税。
・輸出 QIP または裾野産業輸出 QIP の生産ラインに必要な生産資材の輸入にかかる関税、特定の税金、付加価値税。
・特定の国内QIPがその生産ラインのために生産資材を輸入する際の関税、特定の税金、付加価値税。
※生産資材、生産設備、建設資材はすべてSub-Decree 139で定義された用語です。
追加優遇措置
基本税制優遇措置に加え、QIPは以下の追加優遇措置を受けることができます:
・QIPの実施において、現地で生産された生産資材に対する付加価値税のゼロ税率。
また、以下の費用について150%の損金算入が認められています:
(a) 研究開発および技術革新
(b) カンボジア人労働者への職業訓練を通じた人材開発、
(c) 労働者のための宿泊施設、食堂、フードコート、託児所、その他の施設の建設
(d) 生産ラインの機械の近代化
(e)カンボジア人労働者への福祉促進、例えば、自宅から職場までの交通手段、手頃な値段で食事ができるフードコート、保育所、その他の施設
(f) 廃棄物処理のためのインフラ投資/建設。
※宿泊施設、保育所、救護室、食堂、労働者専用の手ごろな食事を提供するフードコートを建設するために建設資材や設備を輸入するQIPは、これらの輸入品に対する関税、特定税、付加価値税が免除されることとなります。
自動車組立 – QIP
Sub-Decree 139は、国内市場向けに自動車を組み立てるQIPに対して、自動車組立部品の輸入に関する優遇措置を提供する、先に発行されたNotification 1906を成文化したものです。輸入部品に対する輸入関税/減税率は、以下の表の通り、関税、特定税、付加価値税に適用されます:
No. | 自動車組立と設置の種類 | 定義 |
1 | CKD(Complete-Knocked-Down:コンプリートノックダウン) | 最終製品であり、追加加工を必要としない部品の取り付け/組立 |
2 | IKD(Initial-Knocked-Down:初期ノックダウン) | 最終製品に近いが、まだスプレー塗装されていない部品の取り付け/組立 |
3 | IKD1 | 溶接またはスプレー塗装されていない部品の取り付け/組立 |
4 | IKD2 | 圧縮/曲げ、溶接、スプレー塗装されていない部品の取り付け/組立 |
組立と設置の種類 | 減税率 | 基準 | |||
現地部品 | 以下の3つの条件のうち
2つを満たす必要あり |
||||
数量 | 従業員数 | 投資資本(万USD) | |||
CKD | 50% | 3%~ | 400~ | 150~ | 500~ |
IKD | 70% | 5%~ | 500~ | 300~ | 1500~+ |
IKD1 | 80% | 20%~ | 600~ | 500~ | 3500~ |
IKD2 | 90% | 40%~ | 700~ | 600~ | 4500~ |
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株式会社東京コンサルティングファーム カンボジア拠点
谷坂 映歩
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