こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。
今週はブラジル税務について記載いたします。
ブラジルは、世界でもトップクラスの税金大国といわれています。国民租税負担率はGDP比35%を超えており、一部の税金(所得税等)は累進課税となっているため、富裕層などの所得の多いものから税金を多く徴収するという姿勢はみられますが、生活必需品を含む消費財に対する付加価値税の高さをみると、貧困層に対してとても厳しい税制といえます。付加価値税(日本における消費税)は、物やサービスによって税率が定められている一律課税であり、消費者の経済状況に関係なく、一定の税率が課されます。ブラジルにおける付加価値税は、個別に設定されている項目を除き、17%となっています。
日本も税金大国といわれており、更に徴収した税金の国民に対する還元率は最低基準となっていますが、現段階での消費税は全ての商品に一律で5%であり、付加価値税を導入している国の中では最低水準の数値です。ちなみに、香港やアラブ首長国連邦、マカオなど、付加価値税を導入していない国や地域も存在します。
ブラジルでは、付加価値税の中でも、個別に税率が設定されている品目があります。食料品の一部や、嗜好品などが該当します。(以下に一例を記載)
水:38%
ミネラルウォーター:44%
水道代:24%
電気代:48%
レストランでの飲食代(昼):32%
缶・瓶ビール:56%
タバコ:80%
iPad:39%
iPod:49%
プレイステーション:72%(一部抜粋)
これらの税率は付加価値税の税率のみですので、輸入品にかかる関税や、その他の税金は含まれていません。私自身、極力自炊を行う様にしているため、スーパーへ買い物に行く機会も多いですが、決して安いと思ったことはありません。日本のスーパーで同じだけの商品を購入した場合、恐らく同程度、購入する商品によっては日本よりも会計金額は高くなると思われます。消費者物価自体を底上げしている一番の原因は、上記にあげた税率の高さにあります。ブラジルは所得格差が深刻な問題となっており、貧困層の所得水準の改善が重要課題となっていますが、所得が多少上がったところで、消費が抑えられなければ大した効果は無く、所得の改善と同時に消費者物価指数が上昇を続ければ、一向に生活の水準は改善されません。経済の成長を助長する税制の調整では無く、抜本的な税制の見直しが必要な時期なのかもしれません。
以上