ブラジルの最低賃金に関して

労務

 

こんにちは。
東京コンサルティングファーム・ブラジルの田村彩紀です。
今週は、ブラジルの最低賃金について記載をいたします。

 

質問)
進出して間もない日系企業なのですが、他の日系企業と話しをしていると、従業員の給与に関して、最低賃金を考慮している、とお聞きいたしました。ブラジルの最低賃金に関して教えていただけないでしょうか。

 

回答)
お問い合わせいただきありがとうございます。
はじめに最低賃金(salário mínimo)に関して、記載をいたします。ブラジル含め多くの国では前年の12月から年始にかけて、該当年の最低賃金額が発表されます。

 

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
最低賃金額 622 678 724 788 880 937 954 998
上昇率 9.00% 6.78% 8.84% 11.68% 6.48% 1.81% 4.61%

 

2019年の最低賃金は、前年比4.61%上昇し、998レアル(約29,940円 [1BRL = 30 JPY] )となります。2012年以降の推移をみると、ここ2年ほどは、上昇率は比較的緩やかになりましたが、2017年以前は、6%以上と比較的高い上昇率となっております。

 

そもそも、これだけ最低賃金の上昇率にばらつきがあるのは、なぜでしょうか。
その年の最低賃金を定める判断材料として、消費者物価指数(INPC: Índice Nacional de Preço ao Consumidor)というのがございます。
こちらの指標も併せて、先ほどの最低賃金の表を新たに記載いたします。

 

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
最低賃金額 622 678 724 788 880 937 954 998
上昇率 9.00% 6.78% 8.84% 11.68% 6.48% 1.81% 4.61%
INPC 6.20 5.56 6.23 11.28 6.58 2.07 3.56※1

※1: 2018年の消費者物価指数(INPC)は、2018年1月から11月までのものとなります。(2019年1月5日時点で、12月分はデータ未発表のため、11月分までを考慮。)

 

見方として、該当年を基準とした場合、その前年の消費者物価指数が、該当年の咲いて賃金上昇率に影響をいたします。例えば、2016年の最低賃金の上昇率は、11.68%と夏ておりますが、これは、前年である、2015年の消費者物価指数、11.28が影響しているということになります。

前置きが長くなってしまいましたが、最低賃金をどのように従業員の給与に考慮するかという点ですが、金額そのものではなく、上昇率を考慮して、従業員の昇給の率を定める会社が多いと考えられます。

 

ただし、ブラジルでは、一度設定した給与を下げることはできないため、昇給は慎重に行う必要がございます。また、地域や職種によって、労働市場の需要と供給のバランスにより、平均的な給与の金額にばらつきも出ますので、給与相場に関してご質問等ございましたら、お気軽にご相談いただければと存じます。

 

お読みくださりありがとうございます。
ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム・ブラジル拠点

田村彩紀

 

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