今週はブラジル労務について記載いたします。
2015年のブラジル・カーニバルに向けて、ブラジル中が慌ただしくなってきました。2月16日~18日までのカーニバル期間中は、全日休みとする会社が殆どで、ブラジルでは数少ない貴重な連休です。
最近、労務に関する質問が多く寄せられます。
【質問】
管理職のポストに就く社員にも残業代を支払う必要がありますか?
【回答】
ブラジル統一労働法(CLT:Consolidação das Leis de Trabalho)に規制されている管理職としての雇用形態を適用する場合、残業代を支払う義務はありません。
上記の通り、労働法で規定のある管理職であれば、残業代が発生致しませんが、「管理職」の定義と、条件を明確に理解しておく必要があります。
まず、労働法によって規定されている管理職とは、「Cargo de Confiança」に該当する職務に就く労働者を指します。Cargo de Confiançaとは、責任ある職務という意味です。管理職に相当する役職として、Gerente/Diretorといった役員、経営者レベルの管理職と、Chefe de Departamento/Supervisor等の業務レベルの管理職に分類することが出来ますが、役員については労働者としての雇用契約では無いため、ブラジル労働法(以下、CLT)に規定されている手当て等の権利は原則享受できません。(Diretor não empregadoを除く)
業務上の管理職については、雇用契約を締結する従業員であるため、CLTの規定に準拠する必要があり、管理職はCargo de Confiançaとして扱う必要があります。
Cargo de Confiançaとして扱うためには、管理職に相応しい権限と給与水準を享受することが必要です。管理職に相応しい権限とは、役員を代行する管理・監督権限であり、会社における重要な案件について決断を下す権限等が挙げられます。また、相応しい給与水準とは、会社の勤務時間に束縛されず、一定の給与額が支給される点や、同じレベルの一般従業員(もしくは管理職就任前の前給与)と比較して40%以上の給与額が設定されている点が挙げられます。
本ブログ冒頭にある、「管理職に残業代を支払う必要があるか」という点については、労働法62条2項によって、管理職であるCargo de Confiançaについては、労働時間(労働法58条)、超過勤務時間(労働法59条)を含む、第2章 労働時間(58条~75条)を適用範囲外としているため、支払う義務がありません。
以上
Tokyo Consulting Firm Limitada
Director
金内 陽
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