こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。
今週はブラジル労務について記載いたします。
ブラジルにおける採用に際して、統一労働法(CLT:LEI N.º 5.452, DE 1º DE MAIO DE 1943)と併せて注意しておきたい規定として、労使協約(Convencao Coletiva)があります。労使協約とは、企業組合(Sindicato Empresarial)と労働者組合(Sindicato dos Trabalhadores)間の団体交渉で制約された規定であり、法的拘束力を有します。
通常、ブラジル企業は準拠すべき企業組合が各業種において存在し、その労使協約への準拠が義務付けられています。統一労働法においても、労使協約による個別の処理を可能としている条項があります。例えば、労働時間に関する規定も、労働協約による個別措置が認められている1つです。
Consolidação das Leis do Trabalho (CLT)
Art. 59 §2o Poderá ser dispensado o acréscimo de salário se, por força de acordo ou convenção coletiva de trabalho, o excesso de horas em um dia for compensado pela correspondente diminuição em outro dia, de maneira que não exceda, no período máximo de um ano, à soma das jornadas semanais de trabalho previstas, nem seja ultrapassado o limite máximo de dez horas diárias.
労使協約または協定の効力により、超過労働時間を他の労働日の労働時間の短縮で相殺する場合において、超過労働による割増賃金は適用されない。
労使協約は、各業界の経済状況を基に更新されますが、原則CLT規程の要件を下回ることは無く、現状は、更に上乗せされた要件を定めている協約が多いように思います。
特に注意が必要となるのは、年次の法定昇給に関する労使協約の規程です。毎年更新される物価の上昇に合わせて、従業員の給与の調整が行われますが、調整率については各労使協定を準拠する必要があるためです。また、極稀に、調整率の適用要件の変更を行う組合もあるため、多くの従業員を抱える企業にとってはかなり影響が大きく、内容によっては事業計画等の見直しも余儀なくされるかもしれません。
年次の法定昇給とその影響を前提とした採用計画や賃金制度の構築などを行い、いかなる変化にも対応できる体制を整えることが、ブラジルでの企業経営において求められています。
従業員の採用計画、規定の変化に柔軟に対応できる人事・労務制度の構築と、それに基づく雇用契約、就業規則などを検討する際は、該当法規の確認と専門家の意見をもとに対応されることをお勧め致します。ご不明点・ご質問等が御座いましたら、是非弊社までご連絡下さい。
以上
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