FÉRIAS ANUAISについて

労務

こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。

今週はブラジル労務について記載いたします。

 

ブラジルにも、日本と同様に有給休暇の制度があります。運用や制度の違いも大きいですが、まず目につく相違点は、日本は通常は年間で10営業日以上付与され、ブラジルは暦日数で30日間付与されるという点です。日本でも、暦によっては最大10日程度の連休になるゴールデンウィークがありますが、仕事から10日間も離れると、自然と仕事が気になってしまい、また、数日間は仕事をしてしまう人も多いのではないでしょうか。ブラジルの場合は、30日間も会社を不在にし、かつ会社は通常通りに稼働するとなると、「会社に必要ないのでは?」と考えてしまうのは、私が日本人だからでしょうか。

実務上は、さすがにブラジルでも30日間連続で休暇が取れる従業員は、不在による会社への影響が少ない者が対象となりますが、原則労働者の権利である点に注意が必要です。

 

CLT(統一労働法)第129条によって、以下の通り年次(有給)休暇(FÉRIAS ANUAIS)が規定されています。

 

Consolidação das Leis do Trabalho (CLT)

Art. 129Todo empregado terá direito anualmente ao gozo de um período de férias, sem prejuízo da remuneração.

全ての労働者は、年次で有償の休暇を取得する権利を有する。

Art. 130 – Após cada período de 12 (doze) meses de vigência do contrato de trabalho, o empregado terá direito a férias, na seguinte proporção: 

雇用契約の締結後、労働者は下記の割合に応じて休暇の権利を有する。(下記表を参照)

 

年次休暇の取得条件は12ヵ月の連続勤務であり、取得日から次回取得日までに、取得した年次休暇を全て消化する必要があります。日本の有給制度の様に次年度への繰り越しができないため、全ての日数を休暇を取得して消化するか、数日間は休暇として消化し、残りはCLT第143条規定の上限日数まで企業に買い取りを依頼することになります。万一に消化しきれなかった日数が残った場合、企業はペナルティを課されることになり、当該日数分は倍額を支給する必要があります。そのため、企業は各従業員の入社日(および権利付与日)、取得日数、使用日数の管理に責任をもち、また、各従業員と共有する必要があります。

休暇の付与日数は、第130条に基づき、以下の通りとなっています。

 

勤怠条件

休暇日数(カレンダー日)

年間6日以上-14 日以下の欠勤

24日の年次休暇

年間15日 以上-23日以下の欠勤

18日の年次休暇

年間24日以上-32日以下の欠勤

12日の年次休暇

年間32日以上の欠勤

年次休暇取得の権利無し

 

上記表における欠勤日数は、任務懈怠や体調不良による欠勤の他、欠勤として見做されない主な項目を考慮して計算されます。

(欠勤に関する詳細は、本ブログ別回「DSRについて」をご参照ください)

 

年次休暇(FÉRIAS ANUAIS)を休暇の取得で消化する方法には2通りあり、1つは各従業員が個別に休暇を取得する方法、もう1つは、企業が設定した集団休暇期間(FÉRIAS COLETIVAS)として消化する方法です。

年次休暇を個々人が休暇で消化する場合は、2回に分割が可能(労働協約等の規定に該当する場合)で、1回の消化期間は最低連続10日間以上となります。

集団休暇期間(FÉRIAS COLETIVAS)として消化する場合は、15日以上前に企業側にその旨を伝え、企業は代表する組合より労働協約に基づき承認を受ける必要があります。実務的には、各従業員の入社日が異なるため、集団休暇を設ける際に、各従業員の残りの年次休暇日数にバラつきがある場合や、勤続12ヵ月未満で年次休暇の権利を保有していない従業員が混在するケースがあります。この場合においては、保有している日数分のみを消化、もしくは集団休暇開始時点までの見做し積算日数分のみを消化となり、それでも不足する分は企業負担による休暇とすることになります。

企業に年次休暇(FÉRIAS ANUAIS)の買い取りを依頼して消化する場合は、CLT第143条に基づき、全取得日数の3分の1を上限とし、年次休暇の権利を取得する15日以上前に企業側にその旨を伝え、企業は代表する組合より労働協約に基づき承認を受ける必要があります。ちなみに、CLT第144条の規定により、金銭で受け取る休暇の手当てについては、20日分の賃金を超えない限りは、従業員の報酬とは見做されないとされています。

 

モデル事例:個々人で消化する場合

1回目:10日間、2回目:10日間、残り日数10日間(全体の1/3)を企業へ売却

 

年次休暇の手当ては、休暇日数分の日給100%+休暇手当てとして日給額の3分の1を休暇を取得する2日前までに支給する必要があり、買い取りの場合は、年次休暇の権利取得の2日前となります。

 FÉRIAS ANUAISの管理、FÉRIAS COLETIVASの適用等は、該当する組合等からの承認と労働協約に影響されるため、該当法規の確認と専門家の意見をもとに対応されることをお勧め致します。ご不明点・ご質問等が御座いましたら、是非弊社までご連絡下さい。

以上

 

 

 

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